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天明の飢饉をうけ,都市と農村は危機に陥った。寛政の改革において幕府がとった農村復興政策について,寛政の改革における都市政策にも留意しながら具体的に述べなさい(200字程度)。


<解法の手がかり>

問われているのは,寛政の改革において幕府がとった農村復興政策。条件として,都市政策にも留意することが求められている。 農村復興策と都市政策をともに説明することが主題ではない点に注意が必要。あくまでも農村復興政策が主題なので,都市政策については農村復興に関連するものに限って説明する必要がある。

まず,第1文に注目したい。
「天明の飢饉をうけ,都市と農村は危機に陥った」とある。ここで説明されたことがら(農村の危機)は,農村復興政策の前提であり,その内容が政策を規定する。したがって,天明の飢饉によって農村がどのような「危機」に陥ったのか,ここから説明したい。

天明の飢饉が農村に与えた影響
◦人口が江戸など都市へ流出

◦農村人口が減少,荒廃地が広がる
:幕府の財政基盤である村の維持が困難となる

寛政の改革での農村復興政策
◦人口回復策
 旧里帰農令(江戸に流入した貧民のうち,正業をもたないものに帰農を奨励):都市政策(江戸の秩序回復策)でもある
◦荒廃地の復興策
 公金貸付
◦飢饉再発の防止策
 社倉・義倉に米穀を備蓄させる


<解答例>
天明の飢饉にともない農村から多くの百姓が江戸など都市へ流出したため,農村人口が減少して荒廃地が広がり,幕府の財政基盤である村の維持が困難となった。そこで幕府は,江戸での打ちこわし対策も兼ねた旧里帰農令をくり返し発令し、正業をもたない貧民に資金を与えて農村に帰ることを奨励し,農村人口の確保をはかる一方,公金を貸し付けて荒廃地の復旧を進めた。また,飢饉の再発を防止するため,村々に命じて社倉・義倉を整えて米穀を蓄えさせた。(210字)