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10世紀後半から11世紀半ばにかけて,摂関政治がおこなわれた。摂関政治の特徴について,太政官機構にも触れつつ,具体的に述べなさい(200字程度)。


<解法の手がかり>

摂関政治の特徴について説明することが求められている。条件として「太政官機構にも触れ」ることが求められており,天皇・太政官が国政を行うというしくみと摂政・関白との関係をうまく表現できるかどうかがポイント。
なお,「特徴」が問われているので,摂関政治以前や院政と対比して違いを説明したい。

① 摂関政治とは?
摂政・関白が主導する政治のあり方
② 摂政・関白とは?
摂政=天皇が幼少の時,天皇の政治的権限を代行する
関白=成人天皇のもとで天皇を後見する

摂政・関白の共通点=人事権など天皇の権限に深く関与→政治を主導できる
③政治の基本的な枠組み
律令制下の政治運営の枠組みを継承
:天皇と太政官を中心として国政が協議・決定され(太政官で協議し天皇が裁可を下す),その決定や命令が宣旨や太政官符によって官庁や諸国に伝達された

摂関政治期に特有のあり方
◦こまごまとした政務や行事は特定の公卿が責任者となって執行
◦公卿が重要な国政の協議=陣定(内裏のなかの左右近衛陣で行う)
(注)このうち,1点めは細かい(山川『新日本史B』に記載があるだけ)
④ 摂政・関白が政治を主導できる条件
天皇との外戚関係(天皇の外戚という地位)
→天皇との一体性を確保

◎摂関政治以前との違い
摂政・関白が新しく登場している点
◎院政との違い
権力基盤=天皇の外戚という立場 ↔ 院政=天皇家の家長という立場にある院(上皇)が政治を主導


<解答例>
摂関政治は摂政・関白が主導する政治のあり方で,摂政は天皇が幼少の時,その権限を代行し,関白は成人の天皇を後見するという相違点はあったが,ともに人事権など天皇の権限に深く関与した。こまごまとした政務や行事は特定の公卿が責任者となって執行されたが,重要な国政事項は陣定で公卿が審議し天皇の裁可を経て決定され,その政策は宣旨や太政官符によって命令・伝達された。そのもとで摂政・関白は外戚関係に基づいて天皇との一体性を確保し,政治を主導した。(217字)