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室町幕府の財政基盤は,知行国と荘園が主だった鎌倉幕府とは大きく異なる。室町幕府の収入源とその特徴について,具体的に述べなさい(200字程度)


<解法の手がかり>

問われているのは,室町幕府について収入源(財政基盤)を説明するとともに,その「特徴」を説明することが求められている。知行国と荘園が主だった鎌倉幕府と異なり,所領からの収入だけではなく,流通や金融,貿易に注目した課税が多く,さらに,それらが必要に応じた臨時の課税(収入)であったことが説明できればよい。

◎収入減
所領(直轄領)=御料所→年貢収入
高利貸業(金融活動)への課税
◦土倉役・酒屋役=京都内外の土倉・酒屋に課税
◦五山への課税
通行税
◦関銭・津料=交通の要所で徴収した通行税
日明貿易の利益
国家的な行事に際して
◦段銭・棟別銭=国家的な行事の経費を諸国の田畑・家屋に課税,守護を通じて課税

◎まとめ=鎌倉幕府との違い
流通や金融,貿易に注目した課税が中心
必要に応じた臨時の課税が多い ※この点は書き込めなくてもよいだろう


<解答例>
室町幕府は御料所とよばれる直轄領からの年貢収入に加え,活発な国内流通や金融,貿易に注目した課税など,必要に応じた臨時の収入が多かった。京都内外で高利貸を営む土倉や酒屋に土倉役・酒屋役を課し,幕府の保護下で金融活動を行った京都五山にも課税した。交通の要所に関所を設けて関銭・津料を徴収し,日明貿易による利益も財源となった。一方,国家的な行事に際しては,段銭・棟別銭を諸国の田地・家屋に賦課し,守護を通じて徴収した。(206字)