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年度 2004年

設問番号 第1問


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【解答例】
1干鰯。大坂へ廻送され,大坂周辺での綿花・菜種栽培において即効性に富む金肥として利用された。
2旧里帰農令を出して江戸に流入した貧民を帰村させるとともに,大名に命じて籾を備蓄する囲米を行わせ,凶作に備えさせた。大原幽学。
3復古神道。農村での商品生産の発展,農村と都市のあいだの商品流通の活発化は,百姓の生活水準を総体的に向上させ,教育の普及による識字率の向上を促し,江戸の町人文化・学問を受容する素地を形成した。一方で,商品経済の浸透は百姓の階層分解を激化させて村の共同体秩序を動揺させ,列強の接近にともなう対外的な危機意識の高まりともあいまって,豪農を中心として秩序維持のための新たな理念を求める動きが強まっていた。そのため,俳諧など平明な文芸が浸透すると共に平田派国学を受容する動きが広がった。
4幕府は諸藩に海防強化を命じて台場を築かせる一方,ペリー来航を契機に品川沖に幕府みずから台場を築造した。
(総計400字)
【解法の手がかり】
問1
空欄aに当てはまる語句=干鰯
下線部bの内容;何の「生産力」か,どのような形で「生産力の発展に寄与した」のか。
○速効性に富む肥料
○大坂周辺の綿作などで使用

問2
老中松平定信の農村政策(内容説明)
○旧里帰農令=農村人口の確保
○義倉・社倉→囲米
空欄dに当てはまる語句=大原幽学

問3
空欄eに当てはまる語句=復古神道
百姓たちが小林一茶や平田篤胤を支持・後援した社会的・経済的・文化的背景(→東大2001年度第3問)
;小林一茶(俳諧)と平田篤胤(復古神道)を必ずしも統一的に考える必要はない
○商品経済の発展(→都市との往来が活発化)
↓ ○百姓の生活水準が向上(→寺子屋の普及・識字率の上昇)・都市文化が流入→地域独自の文化が形成
○百姓の階層分化が激化・出稼ぎなどによる離農者が増加・無宿や博徒が横行
 →村の共同体秩序が動揺=近世社会の基礎構造が大きく変動→(豪農・村役人層を中心に)危機意識の高揚

問4
江戸湾岸の警備強化(内容)
○老中松平定信=諸大名に江戸湾岸防備を命令→沿岸諸藩により順次,台場の構築が進む
○老中水野忠邦=印旛沼掘割工事で江戸湾の水運確保を計画,上知令
○老中阿部正弘=伊豆韮山に反射炉,品川沖に台場を構築
これらのうち,最低限,阿倍正弘の施策が出てくればよいだろう。