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年度 2004年

設問番号 第3問


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【解答例】
1アメリカが沖縄の施政権を日本へ返還することが合意された。その結果,1971年に沖縄返還協定が結ばれ,翌年日本復帰が実現した。
2当時アメリカはベトナム戦争に介入したものの敗勢にあった。アメリカ軍の出撃拠点となっていた沖縄では,祖国復帰運動がベトナム反戦運動と結びつき,アメリカ軍基地撤去を求めて激化していた。そこでアメリカは,施政権返還により住民の反米感情を払拭し,基地維持のコストを軽減すると同時に,極東でのアメリカの覇権を確保するため,日本の軍事的・経済的分担を増大させることをねらった。
3沖縄でのアメリカ軍基地存続と核兵器配備が争点とされた。「核抜き・本土並み」が合意され,沖縄にも日米安保条約が適用されて基地が存続するとともに,核兵器持ち込みには日本が事前協議に柔軟に対応することとなり,アメリカの最大限の基地自由使用は維持された。
4核兵器を作らず・持たず・持ち込ませずとの非核三原則を表明した。
(総計400字)
【解法の手がかり】
問1
合意事項
○沖縄の施政権の日本への返還
結果
○1971年に沖縄返還協定調印→72年に沖縄の施政権返還が実現

問2
ある事情
○ヴェトナム戦争→沖縄=重要な出撃拠点(の一つ)
アメリカの意図
○ヴェトナム反戦運動の高まり→沖縄では反米・反戦の祖国復帰運動
○基地維持のコスト軽減(返還実現により沖縄住民の感情を和らげる)

問3
沖縄返還をめぐる二つの争点と合意内容
○声明(7)「日米安保条約及びこれに関連する諸取決めが変更なしに沖縄に適用される」
;基地存続                       →「本土並み」といいつつ,沖縄に米軍基地が偏重
○声明(8)「日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく」
;日本は核兵器持ち込みについての事前協議に柔軟に対応  →アメリカの最大限の基地自由使用(出撃の自由・装備の自由)を保証

なお,事前協議制の実態は次の通り。
○事前協議の対象となる「装備における重要な変更」とは,中長距離ミサイルを含む核兵器の日本への持ち込みと,それら兵器のための基地の建設を意味し,核抜きの短距離ミサイルを含む非核兵器の持ち込みは除外。
○(核兵器を搭載した)艦船・航空機の進入・飛来は事前協議の対象とならない。
○朝鮮・台湾・ベトナム有事の際には,本土・沖縄を問わず全ての基地を事前協議なしに使用できる。

問4
核兵器に関する日本政府のある政策
○非核三原則=核兵器を作らず・持たず・持ち込ませず