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年度 2005年

設問番号 第3問


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【解答例】
1連合国が,戦争指導に関与した政治家・軍人などに対して「平和に対する罪」を適用し,極東国際軍事裁判で裁いた。その結果,東条英機・広田弘毅らが死刑に処せられた。不戦条約。
2連合国側の各国が,俘虜や一般人に対する殺害・虐待など通常の戦争犯罪をアジア・太平洋各地で開廷した軍事裁判で裁いた。
3日中戦争が長期化するなかで国家総動員法が定められ,政府は戦争・事変を遂行するために経済や国民生活を統制運用するに際し,勅令で実施することが可能となり,議会の立法協賛権が空洞化した。さらに近衛文麿が新体制運動を展開すると,全政党が解散して大政翼賛会結成に参加したため,議会の内閣チェック機能が空洞化した。
4東条内閣の翼賛選挙以降,事実上の一国一党体制を担った翼賛政治会関係者が,戦後最初の総選挙に際してGHQにより公職追放をうけた。しかし朝鮮戦争勃発のころから追放解除が進み,講和条約発効にともなって全員解除された。
(総計400字)
【解法の手がかり】
問1
「開戦責任を追及するためにとられた措置」と,その根拠とされた条約(のひとつ)。
史料のなかで「世界平和を撹乱する無謀の師を起こさしめたる」とあるので,ここで問題にされている戦争責任は「平和に対する罪」。したがって,これを追及するためにとられた措置は,極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)。政府や陸海軍の指導者がA級戦犯として訴追され,東条英機・広田弘毅らが死刑に処せられたことが指摘できればよい。
「平和に対する罪」追及の根拠とされた条約は,不戦条約をあげられれば十分だが,難しいだろう。

問2
「国際条規に背反する惨虐行為を行ひたる刑事犯罪」を追及するための措置。
こちらは,俘虜(捕虜)や一般人に対する殺害,虐待,虐待致死を裁いたもので,裁かれた人々はBC級戦犯と称された。アジア・太平洋各地で開廷された。

問3
日中全面戦争以降における議会政治の空洞化を具体例をあげながら説明すること。
○国家総動員法の制定=いわゆる授権立法
○大政翼賛会の結成とそれに伴う全政党の解散
○翼賛選挙
この3つのうち,2つをあげればよい。

問4
「立法の府に列する者」の責任追及と,講和条約発効前後の時期における変化。
1946年総選挙に際し,翼賛政治会関係者が公職追放をうけた。しかし朝鮮戦争勃発のころから追放解除が進み,講和条約発効にともない,全員解除された。