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年度 1984年

設問番号 第2問


次の文章を読んで、下記の問い(1)〜(3)に答えよ。(300字以内)

 江戸幕府の年貢徴収の特質をよくあらわす言葉として、次の2つがよく知られている。ひとつは、東照宮上意とされる「郷村百姓共をば、死なぬ様に生きぬ様にと合点致し収納申し付る様」であり、いまひとつは、(ア)「西域物語」によると神尾春央(1736〜1763年に幕府勘定奉行)がいったという「胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなり」である。この2つの言葉のうち、後者は(イ)18世紀前半に転換した幕府の年貢徴収法の特質を表現したものとされている。また、これと同じ頃に、(ウ)幕府財政のあり方を変更する上げ米制も一時的とはいえ行われた。しかし、結局のところ、こうした方法では幕府財政の再建をはかることはできなかった。

(1) 下線部(ア)について、「西域物語」の著者名とその主張について述べよ。
(2) 下線部(イ)について、年貢徴収の制度上の転換について具体的に述べよ。また、その転換を可能にした農業生産の発展について説明せよ。
(3) 下線部(ウ)について、上げ米制とは何か、また、それが「幕府財政のあり方を変更する」ものであるのはなぜかを具体的に説明せよ。