年度 2002年

設問番号 第3問


次の文章は,ジャーナリスト徳富蘇峰が,1916(大正5)年,政府のロシアに対する外交政策を支持する立場から,国民の対露感情を批評したものである。これを読んで,下記の設問に答えなさい。

明治三十七八年役の,大なる収穫あり。そは百年来,我が国民を悪夢の如く圧したる,怖露病を一掃したること是れなり。(中略)対馬海の大海戦,奉天の大陸戦は,我が国民の自恃心を刺戟し,憂うべきは,怖露にあらずして,却って侮露たらんとするの傾向さえも,生じたりしなり。(中略)吾人は漫りに帝国の前途を悲観する者にあらず。されど我が国民が小成に安んじ,小功に誇り,却って其の当面の大責任を,放却しつつあるにあらざるかを,憂慮せざらんとするも能わざるなり。

設問
A 上の文章に言う「怖露病」がもっとも激しかったのは日清戦争直後のことであったが,その国際関係上の背景を,2行以内で説明しなさい。
B 「明治三十七八年役」の後,上の文章の執筆時において,日露両国政府の関係は,戦争前とは大きく変化していた。その変化の内容と理由とを,4行以内で説明しなさい。