年度 2006年

設問番号 第3問


次の文章(1)・(2)は,1846年にフランス海軍提督が琉球王府に通商条約締結を求めたときの往復文書の要約である。これらを読み,下記の設問A・Bに答えなさい。

(1) [海軍提督の申し入れ] 北山と南山の王国を中山に併合した尚巴志と,貿易の発展に寄与した尚真との,両王の栄光の時代を思い出されたい。貴国の船はコーチシナ(現在のベトナム)や朝鮮,マラッカでもその姿が見かけられた。あのすばらしい時代はどうなったのか。
(2) [琉球王府の返事] 当国は小さく,穀物や産物も少ないのです。先の明王朝から現在まで,中国の冊封国となり,代々王位を与えられ属国としての義務を果たしています。福建に朝貢に行くときに,必需品のほかに絹などを買い求めます。朝貢品や中国で売るための輸出品は,当国に隣接している日本のトカラ島で買う以外に入手することはできません。その他に米,薪,鉄鍋,綿,茶などがトカラ島の商人によって日本から運ばれ,当国の黒砂糖,酒,それから福建からの商品と交換されています。もし,貴国と友好通商関係を結べば,トカラ島の商人たちは,日本の法律によって来ることが禁じられます。すると朝貢品を納められず,当国は存続できないのです。
                                          フォルガード『幕末日仏交流記』

設問
A 15世紀に琉球が,海外貿易に積極的に乗り出したのはなぜか。中国との関係をふまえて,2行以内で説明しなさい。
B トカラ島は実在の「吐[口+葛]喇列島」とは別の,架空の島である。こうした架空の話により,琉球王府が隠そうとした国際関係はどのようなものであったか。歴史的経緯を含めて,4行以内で説明しなさい。