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名代・子代と田部

メールでの質問への応答です(2001.12.06)。

> 名代・子代とは具体的に何をするのですか?
> 田部とはどのような違いがあるのですか?
> 用語集には国造の民をあてるという風に書いてあるのですが・・・
> よく分かりません。

名代・子代は,大王や特定の王族に貢納・奉仕する人民(部民)の総称で,国
造支配下の人民を割いて設定されています。

受験としてはこの説明で十分なのですが,もう少し詳しく説明すれば....

服属した地方豪族は,大王から姓を与えられ,国造に任じられて地域の支配を
任されますが,その国造一族の成年男子が中央に赴き,大王や特定の王族のも
とで舎人[とねり・護衛や雑務にあたる]・膳夫[かしわで・調理に従事]・
靫負[ゆげい・親衛軍]などとして働き,奉仕します。それが伴(トモ)と称
される人びとで,全国各地から出仕してくる同様の伴とともに,中央の伴造の
指揮・統率下に置かれていました。
そして,こうした中央へ出仕している伴が必要とする諸物資をまかなうために,
出身の国造の支配地域内の人民を割いて設置されたのが,名代・子代と称され
る部民です(名代と子代は同一のものに対する別称とされています)。

なお,田部とは屯倉の耕作に従事する人民(部民)のことです。屯倉は国造の
支配下の土地を割いて設定されますから,場合によっては,名代・子代とメン
バー的に重複することがあるかもしれません。しかし,屯倉との関係において
は田部として把握され,大王・王族との関係では名代・子代として把握されま
す。
同一の人民集団だとしても,何との関係に注目するかによって呼称が違うとい
うわけです。たとえば君にしても,親との関係においては「○○さんちの息子
」だが,通学している高校との関係においては「○○高校の生徒」と呼ばれる
のと同じ話です。
[2001.12.06]