[テーマ/目次] 

「ヤマト政権」の表記について

メールでの質問への応答です(2004.04.30)。

> 本年の教科書(山川)で「大和政権」が「ヤマト政権」(カタカナ)に表記が変わっ
> ていますが、どういう理由ですか。

<ヤマト>を「大和」と記すのは8世紀半ばからであり,それ以前は「大倭」,さらにさかのぼると「倭」の文字で表記していたことから,<大和政権>とせず<ヤマト政権>と表記しているようです。
確かに,政権を現す言葉,たとえば<鎌倉幕府>や<室町幕府><江戸幕府>には,当時,用いられていた地名がその表記のまま使用されています。それから考えると,<大和>との表記が使われていないのに<大和政権>と表記するのは不適当だと言えます。そこで,片仮名表記にしたわけでしょう(ひらがなだとインパクトが薄い)。

ただ,他にもいろいろな考え方があります。
たとえば,「大和(=奈良県)」だけが政権の中心地であったわけではなく「河内」の時代もあったことを配慮し,さらに両者の継続性を意識して,「大和(=奈良県)」を意識させてしまう<大和政権>という表記を避ける,という考え方もあります。
[2004.04.30]