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年度 2009年

設問番号 第2問


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【解答例】
1小作料が金納とされると共に,不在地主の所有地全て,在村地主の一定限度を超える小作地を国家が強制的に買収し,小作農に払下げる措置がとられた。その結果,自作農が広範に創出された。
2田畑永代売買の解禁から地租改正の過程において,封建的領有制が解体される一方,地券所有者に土地の私的な所有権が認められたため,地主の地位と権利が法的に確固としたものとなった。さらに地租の定額金納制が導入されたため,物価変動が農家に直接影響を及ぼすようになった。そして松方財政下のデフレーションに伴って農産物価格が下落すると,深刻な農村不況がおこり,地租の実質的な負担増加もあり,負債を抱えた自作農のなかには土地を手放して小作農に転落するものが増加し,一方,地主による土地集積が進展し,寄生地主制が形成された。
3ともに納税額に基づく制限選挙が採用され,有権者は地主が中心であった。
4小作権の確立と小作料の引下げ。日本農民組合。
(総計400字)


【解法の手がかり】
問2の寄生地主制の形成過程がしっかりとした答案を書きやすく,200〜300字程度の文章が書けるはずである。そのため,それ以外の問,とりわけ問3,問4はきわめて簡潔に表現し,問1も100字程度に抑えておきたい。

問1 類題:2007年第3問
問われているのは,(1)第二次農地改革で,小作料と地主の所有地についてとられた措置,(2)第二次農地改革の結果,どのような変化が生じたか。
(1)について。
 小作料→金納制とする
 地主の所有地→不在地主の全ての所有地,在村地主の一定限度(1町歩,北海道は4町歩)を超える小作地を国家が買収し,小作農に払下げ
(2)について。
 農地改革の結果・影響については,次のような事項を想起できる。
 ○寄生地主制の解体
 ○自作農の広範な創出:農家の所得水準が向上する基礎→国内市場の拡大もしくは保守化傾向
 ○農家の零細経営問題は解消されなかった
→「影響」ではなく「変化」が問われている点に注意し,(寄生地主制の解体と対応する)自作農の広範な創出に限定すればよい。

問2 類題:1993年第2問
問われているのは,時期:田畑永代売買の解禁から地租改正を経て松方財政下のデフレーションまで,テーマ:寄生地主制の形成過程。条件として,土地所有制度と課税制度の変化に着目することが求められている。
過程(推移)が問われていることに着目して時期区分を行うと,(a)「田畑永代売買の解禁から地租改正」,(b)「松方財政下のデフレーション」の2つの時期に区分することができる。そして条件は,(a)の時期についてのものだと判断できる。
そこで,まず,(a)「田畑永代売買の解禁から地租改正」の時期について,「土地所有制度と課税制度の変化」をまとめてみる。
<土地所有制度の変化>
○旧武士身分などによる封建的領有制が解体
○町村の共同体的な規制が排除

○地券所有者に対し,土地の私的な用益と所有が保証される
○土地は地券所有者が自由に利用・処分できる私的財産となった。
→地主に即して表現すれば:地主の地位と権利が制度的に確固としたものとなった。
<課税制度の変化>
○石高(収穫高)に基づく米納制

○地価に基づく定額金納制
:地租が物価変動に関係なく固定となる→物価変動が農家に直接影響を及ぼす
次に,(b)「松方財政下のデフレーション」の時期について。
○農産物価格が下落→深刻な農村不況の発生,定額地租の実質的な負担増加

○農民の階層分化
 ○負債を抱えた自作農のなかには土地を手放して小作農に転落するものが増加
 ○地主や高利貸が土地を集積
→寄生地主制が形成(される基礎が整う)

問3 類題:1993年第2問
求められているのは,地主制が「明治憲法体制の一翼を担うことになった」について,町村制と帝国議会衆議院を例にとって具体的に説明すること。町村制と帝国議会衆議院において地主が中心となっていること,もしくは,それらを地主が支えていることが説明できればよい。
町村制について。
○町村会…納税額に基づく制限選挙で等級選挙
○町村長…町村会の公選
帝国議会衆議院
○納税額に基づく制限選挙(直接国税15円以上という納税資格)

問4 類題:2005年第2問
問われているのは,1920年代の小作農民の運動が掲げた要求2つと,全国組織の名称。
要求としては,
○小作料の減額
○小作権の確立
○小作組合の承認
などがあるが,後2者については,小作農の地位確立,小作農の人格承認,小作立法でもよい。
全国組織としては高校日本史レベルでは,日本農民組合が出てくればよい。