年度 2011年
設問番号 第2問
【解答例】
1井上馨は,内地雑居,外国人判事の任用,欧米同様の法典の編纂を条件として領事裁判権の撤廃をめざしたものの,三大事件建白運動が高揚するなど政府内外から国家主権を侵すとの批判が起こったため,外相を更迭され,交渉は失敗した。
2明治政府は,西洋にならって罪刑法定主義を取り入れた刑法などを定めた。1890年に公布された民法は,穂積八束らによって家族道徳を破壊するものと批判されて民法典論争が生じ,この結果,修正を前提として施行延期となった。
3明治初めに戯作や政治小説が流行したのに対し,坪内逍遥が『小説神髄』を著し,荒唐無稽なストーリー展開を排し,ありのままの人情や世相を描く写実主義を唱えた。この主張は,二葉亭四迷『浮雲』などの言文一致の試みや,江戸文学の伝統をうけつぎながら写実的な描写を実現させた尾崎紅葉『金色夜叉』などにつながった。
4徳富は,政府の欧化主義を貴族的と批判し,平民中心の欧化主義を主張した。