年度 1980年
設問番号 第1問
日本史における文化の在り方を大観すると,律令制以前においては,文化は呪術的性格をおび,しばしば支配の手段とされていた。このことは各地の祭祀遺跡などからも認めることができるが,(ア)邪馬台国の卑弥呼の場合についても指摘することができる。
律令時代に進むと,文化はさらに国家の支配と緊密に結びつけられる傾向が強められた。この点も多方面から論ずることができるが,(イ)大仏造立はそのような傾向をもっとも端的に示すものである。
平安鎌倉時代の文化は,仏教との結びつきを強く持っていた。仏教寺院の建築や仏像彫刻などはその代表的事例である。
室町時代になると,文化はしだいに宗教から解放されるようになり,生活文化が多彩に展開しはじめた。(ウ)とくに衣服と住居の新しい様式は,今日に連なる和風生活様式の原型を形づくったものといえる。
そして,(エ)戦国時代には,衣料原料の面で革命的ともいえる変化がおこった。
江戸時代には,宗教は世俗化し,都市と経済の発展や街道の整備ともあいまって,(オ)民衆の日常的な願望にそった特徴ある宗教的行事や行動がさかんに行われるようになった。また,生活文化はいっそう発展し,(カ)元禄期をさかいに女性の服装にあたらしい様式が成立したが,これは生活様式や女性の社会的地位の変化ともかかわっていた。
〔問い〕 上記文中の下線をひいた(ア)〜(カ)について,それぞれ史実をあげて具体的に説明せよ。解答は,(ア)…(イ)…(ウ)…の形で記せ((ア)〜(カ)合わせて300字以内)。