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年度 2026年  設問番号 第4問(1)

テーマ 摂関政治の特徴/古代

発問の類型 特徴


摂関政治の特徴について, 摂関家と天皇との関係, および摂関家と中・下級貴族との関係の双方にふれながら説明せよ。


設問の要求
時期:
テーマ:摂関政治の特徴
条件:摂関家と天皇との関係
   摂関家と中・下級貴族との関係 にふれる

この問題では「特徴」(他との対比)が求められているものの、まずは摂関政治とは何か、その定義・内容を確認したい。
その際、いつ、どこで、誰が、何を、という4つの観点を意識したい。
朝廷の政治運営なので「どこで」はさほど意識する必要はありませんが、「いつ」(時期)は設問で明記されていないので、なおさら確定しておきたい。
◎摂関政治
いつ:10世紀後半から11世紀半ばにかけて
誰が:摂政・関白、あるいは摂政・関白を出す摂関家の貴族
何を:国政を主導した

次に確認しなければならないのは「特徴」である。
その際、対比する対象は何なのかを意識化したい。
摂関政治が展開したのが古代であることを念頭におけば、律令制下の、8〜9世紀における国政運営と対比するとよい。摂関政治も律令官制を前提とする国政運営という点で共通点がある。

◎8〜9世紀における国政運営
太政官での公卿(上級貴族)の審議をふまえて天皇が裁可を下す

この形式は摂関政治においても、基本的に継承されている。
ところが、ここに摂政・関白という官職が新しく加わり、彼らが国政を主導しているのが摂関政治である。
したがって、摂政・関白とはどのような官職であり、彼らが国政をどのように主導したのかを、国政を主導できた根拠を含めて説明すれば、摂関政治の「特徴」を最低限、説明できたことになる。

◎摂政・関白がどのような官職なのか
摂政:天皇が幼少の時、その政務を代行する
関白:成人天皇のもとで天皇を後見する
共通点:天皇の権限に深く関与
(年齢や資質にかかわらず天皇の権限が公正に行使されるよう、その権限に関与)

とはいえ、摂政・関白に就任したからといって国政を主導できるわけではない。必要だったのは、天皇との一体性、天皇からの信任であり、それを担保したのが天皇との外戚関係である。
言い換えれば、藤原実頼・頼忠のように関白を務めていても天皇の外戚でなかったために必ずしも国政を主導することができなかった人物がいたし、天皇の外戚だけれども官職上の地位もあって摂政・関白を付かず、しかし国政を主導した人物もいた。
これらをふまえれば、摂政・関白が天皇の外戚として国政を主導したというよりも、摂政・関白を出す家である摂関家の貴族が天皇の外戚として国政を主導したと表現するほうが適切だろう。
このように考えれば、条件として挙げられている「摂関家と天皇の関係」(摂関と天皇の関係ではなく)にふれることができる。
◎摂関家と天皇の関係
外戚関係にもとづいて天皇を摂関家のミウチに取り込む
→天皇との一体性を確保:国政主導のよりどころ

続いて、国政運営の具体的な内容について。
摂関政治期は、日常的な行政実務(年中行事を含む)は特定の公卿(→上卿)が中心となって処理し、重要政務は公卿が合議するという国政のあり方が一般化している。
これは8〜9世紀における国政運営とは異なる点である。とはいえ、山川『新日本史』がなくなって以降、日常的な行政実務に関する説明が高校教科書では見られなくなった(と思う)。したがって必ずしも説明しなければならないわけではない。
しかし、もう一つの条件「摂関家と中・下級貴族の関係」を意識するならば、摂関だけでなく公卿に任じられた摂関家の貴族が、太政官での重要政務の合議(陣定)に関わっているがゆえに人事に対して発言力をもつことは、因果関係の説明としてほしいところ。
◎摂関家と中・下級貴族の関係
背景:重要政務は公卿が陣定で審議(合議)
   →(公卿を務める)摂関家が人事に発言力をもつ
内容:(受領への任官を望む)中・下級貴族が摂関家に私的に奉仕


【解答例】
摂関政治は10世紀後半から11世紀半ばにかけて展開し、摂政・関白が天皇と一体となって共同で主導する政治である。摂政は天皇が幼少時に政務を代行し、関白は成人の天皇を後見したうえ、外戚関係に基づいて天皇を摂関家のミウチに取り込み、政治権力を握った。重要な政務は公卿による陣定で審議され、天皇や摂政が裁可を下した。摂関家は人事に発言力をもち、経済的収益の多い受領への任官を望む中・下級貴族から私的奉仕を受けた。(200字)