年度 2026年 設問番号 第4問(2)
テーマ 鎌倉時代の経済/中世
発問の類型 多面的な説明
鎌倉時代における経済について,流通をめぐる新しい動きをあげながら説明せよ。
設問の要求
時期:鎌倉時代
テーマ:経済
条件:流通をめぐる新しい動きをあげる
京大日本史らしい、すごくアバウトな出題である。
内容説明が問われており、いくつかの観点を立てて多面的に構成したい。
ポイントは、鎌倉時代が荘園制(荘園公領制)社会であること。
荘園制社会のしくみを念頭におけば、現地の荘園、領主の住む京都・奈良(や鎌倉)、現地と領主とを結ぶ年貢輸送、という3つの場面を思い浮かべればよいことに気づく。
第1に現地の荘園。農業の発達についてふれたい。
第2に領主への年貢輸送に注目し、交通の要地を想起する。
問丸が活躍する。交通の要地に倉庫を営み、年貢の保管・輸送などに携わった人々。
荘園経営や年貢管理を領主から任された者のなかには金融を営む者が登場する(この説明は実教『日本史探究』)。借上である。
為替を扱う業者も。言い換えると、遠隔地間の決裁に為替が使われるようになる。これは、問丸や借上らが都鄙をまたいで活動するなかで広まったもの。
さらに定期市が開かれるようになったことを説明するのもあり。
第3に京都など都市。ここでは見世棚が説明できればいいだろう。
次に考えるのは「流通をめぐる新しい動き」。
そもそも、これまで指摘したことが既に「流通をめぐる新しい動き」ではないか!?とは思うものの、鎌倉時代の途中に出てくる「新しい」動きに注目したい。
宋銭の流入・貨幣としての通用と、年貢の代銭納である。
これで、答案を4つのパーツにわけて構成することができる。
もちろん、鎌倉時代における経済と言えば、商工業者が寺社や官衙に所属して神人・供御人などの身分をもち、保護や特権を得ながら活動していたこと(あるいは座)など、他にもさまざまな思い付くことはあると思う。しかしこの問題ではどのように焦点を絞り込むかがポイントである。荘園制(荘園公領制)社会である点に焦点を絞り込み、神人・供御人(あるいは座)についてはカットすればよいと判断したい。
【解答例】
荘園制のもとで経済が発達した。荘園では二毛作や牛馬耕などが広がって農業が発達した。領主への年貢輸送にともない、交通の要地では保管・輸送などにあたる問丸が活動し、為替を利用した決済が登場する一方、荘園経営などを任された者のなかから金融を営む者が現れた。領主の住む京都など都市では常設店舗である見世棚が広がった。鎌倉後期、宋銭が輸入されると貨幣経済が浸透し、年貢の代銭納が広がって商品流通が活発化した。(199字)