年度 2004年
設問番号 第4問
テーマ 近代土地制度史(地租改正と農地改革)/近代
(1)地租改正について。
地租改正は、廃藩置県で全国の徴税権が中央政府のもとに集中したことを前提とし、政府の財政基盤の安定を目的として実施された税制改革であった。1873年に地租改正条例が出され、大久保政権のもと、75年から本格化し、80年までにほぼ完了した。
内容と影響は次のようにまとめることができる。
<内容>
○地主・自作農に地券を交付し、土地所有権を保障(土地所有権者を確定)→納税者を確定
●入会地のうち、所有権の確定できないものは官有地に編入
○(法定)地価に基づく定額金納制を導入
●小作料については現物納のまま
<影響>
○近代的な土地所有制度が確立
+→封建的な領有制が最終的に解体(石高に基づく年貢収納権が家禄という形で、いわば遺制として存続していたが、その根拠が消滅)
○農村社会と貨幣経済との結び付きがより深くなる(生産物の換金が不可欠・定額ゆえに物価変動が直接影響)
+→(a)商業的農業が拡大、(b)農民の階層分化を促す基礎となる→地主制発達
(2)農地改革について。
農地改革は、第2次世界大戦後、GHQが実施を指令したもので、幣原喜重郎内閣が農地調整法を改正して着手するものの、GHQにより内容が不徹底とされ、第1次吉田茂内閣が農地調整法を再改正、自作農創設特別措置法を制定して実施した。軍国主義の基盤の一つとみなした寄生地主制を解体し、自作農を広範に創出することで農家の所得水準の向上をめざしたものであった。
内容と影響は次のようにまとめることができる。
<内容>
○地主の貸付地を制限(不在地主を否定、在村地主は北海道を除いて1町歩・北海道は4町歩)
+→小作農へ有償解放(超過分を国が買収・小作農に売却)
<影響>
○寄生地主制が解体→自作農が広範に創出
○山林原野は未解放
○零細経営問題は未解決