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年度 1985年

設問番号 第1問

テーマ 遣隋使・遣唐使の政治的・文化的影響/古代


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設問の要求は、遣隋使・遣唐使派遣によってもたらされたものが当時(7〜9世紀)の日本の政治と文化に与えた影響。
遣隋使に随行して中国に留学した人びとが帰国したのは大化改新の直前頃なので、それ以降に話を限定してよい。

政治
大化以前:大王家と豪族が土地・人民を個別に支配

公地公民制にもとづく律令制度の導入
唐にならった国家事業として都城制の採用・貨幣の鋳造や国史・地誌の編纂

文化
律令制確立期の天武朝以降、国家仏教の進展:さまざまな経典や宗派(南都六宗〜天台・真言宗)の摂取
漢詩文が貴族・官人の素養として定着=唐風文化の繁栄(白鳳→天平→弘仁・貞観)

なお、漢詩文にならって和歌の定型化が進んだことや、神仏習合の進展にともない仏教理論にもとづいて神祇信仰の体系化が進んだことなど、のちの文化につながる動きについて触れてもよい。


(解答例)
隋・唐は律令法に基づく中央集権体制を整えており、遣隋使や遣唐使はそうした隋・唐の国家体制のあり方を伝えた。政治面では、大王家と豪族が土地・人民を個別に支配し、豪族が朝廷の職務を世襲するという体制を改め、公地公民を原則とする官僚制的な支配体制を樹立しようとする動きを促進し、7世紀後半に律令体制が確立し、さらに都城の建設、貨幣の鋳造や国史・地誌の編纂などの国家事業が展開した。文化面では、さまざまな仏教教理が伝えられ、鎮護国家思想に基づく国家仏教体制が整うと共に、現世利益を求める貴族層を中心に仏教が普及して仏教美術が開花する一方、漢詩文が貴族の教養として重んじられるなど、唐風の貴族文化が発達した。