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年度 1987年

設問番号 第4問

テーマ 第一次・第二次両大戦の国際環境の相違点/近代


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設問の要求は、第一次大戦の際の日本をめぐる国際環境と第二次大戦の際の国際環境の相違点。

第一次・第二次大戦ともに、日本と密接な関係をもった諸国はイギリス・ロシア(ソ連)・ドイツ・アメリカ・中国の五か国である。まず諸外国との関係を整理しよう。

 
第一次大戦第二次大戦
イギリス日英同盟で提携(参戦の口実)戦争相手
ロシア(ソ連)日露協約で提携はじめ日ソ中立条約で提携→のち戦争相手
ドイツ戦争相手日独伊三国軍事同盟で提携
アメリカ次第に対立激化戦争相手→日本占領の主力
中国日本は権益拡大をねらう→反日運動それ以前から日中戦争が展開

これら諸国との関係をできる限り答案のなかに盛り込みたいが、ただ羅列しただけでは「日本をめぐる国際環境」、とりわけ日本が両大戦に参加するにいたった背景は説明できない。両大戦とも中国侵略が参戦の動機だったのだから、その点を軸にして答案を作成するとよい。
なお、英仏と独との対立がヨーロッパでの両大戦勃発の背景なので、それを含めて答案を作成するという方法もあるが、それにしても日本の参戦動機となった利害関係を明確化することを忘れないように。

また、設問では「大戦の際の日本をめぐる国際環境」としか書かれておらず、“参戦の背景・あるいは・参戦にあたっての国際環境”とは限定されていない。その意味では、できれば大戦中のできごとや結果についても、“日本をめぐる国際環境の変化”という文脈に関連する限りで記述しておきたいところだ。


(解答例)
第一次大戦の際は,英独対立などを軸に戦争が進展し,日英同盟を結んでいた日本には,対独参戦により中国・太平洋地域で勢力拡大が可能な国際環境であった。第二次大戦の際は,英独対立などを軸に欧州戦争が展開し,日中戦争で米英と関係を悪化させた日本には,対独提携の強化による事態打開を期待させる国際環境であった。(150字)