年度 2018年

設問番号 第3問


1825年,江戸幕府は異国船打払令(無二念打払令)を出した。この前後の出来事に関して述べた,次の⑴~⑸の文章を読んで,下記の設問A・Bに答えなさい。

⑴ 1823年,水戸藩領の漁師らは,太平洋岸の沖合でイギリスの捕鯨船に遭遇した。彼らは,その際に密かに交易をおこなったとの嫌疑を受け,水戸藩の役人により処罰された。
⑵ 1824年,イギリス捕鯨船の乗組員が,常陸の大津浜に上陸した。幕府および水戸藩は,この事件への対応に追われた。
⑶ この異国船打払令を将軍が裁可するにあたり,幕府老中は,近海に出没する異国の漁船については,格別の防備は不要であるとの見解を,将軍に説明していた。
⑷ 異国船打払令と同時に,幕府は関連する法令も出した。それは,海上で廻船や漁船が異国の船と「親しみ候」事態について,あらためて厳禁する趣旨のものであった。
⑸ 1810年から会津藩に課されていた江戸湾の防備は1820年に免除され,同じく白河藩による防備は1823年に免除された。以後,江戸湾の防備は,浦賀奉行および房総代官配下の役人が担当する体制に縮小され,1825年以後になっても拡充されることがなかった。

設問
A 異国船打払いを命じる法令を出したにもかかわらず,⑸のように沿岸防備を強化しなかった幕府の姿勢は,異国船に対するどのような認識にもとづいたものか。2行以内で説明しなさい。
B 異国船打払令と同時に⑷の法令も出されたことから,幕府の政策にはどのような意図があったと考えられるか。3行以内で述べなさい。


解法のヒント