年度 2019年

設問番号 第4問


 20世紀初頭の日本の機械工業は,力織機や小型のポンプなど繊維産業や鉱山業で用いられる比較的簡易な機械を生産して,これらの産業の拡大を支えていた。また,造船業は国の奨励政策もあって比較的発展していたが,紡績機械をはじめ大型の機械は輸入されることが多かった。一方,高度経済成長期には,輸出品や耐久消費財の生産も活発で,機械工業の発展が著しかった。
 次の⑴・⑵の文章は,この二つの時期にはさまれた期間の機械工業について記したものである。これらを読み,機械類の需要や貿易の状況に留意しながら,下記の設問A・Bに答えなさい。

⑴ このたびのヨーロッパの大戦は我が国の工業界にかつてない好影響をもたらし,各種の機械工業はにわかに活況を呈した。特に兵器,船舶,その他の機械類の製作業はその発展が最も顕著で,非常な好況になった。

(農商務省工務局『主要工業概覧』1922年による)

⑵ 近来特に伸びの著しい機種は,電源開発に関連した機械類や小型自動車及びスクーター,蛍光灯などの新しい機械である。輸出額では船舶(大型タンカー)が40%近くを占めて機械輸出の主力をなし,繊維機械,ミシン,自転車,エンジン,カメラ,双眼鏡など比較的軽機械に類するものが好調である。

(通商産業省重工業局『機械器具工業の概況と施策』1953年による)

設問
A ⑴に示された第一次世界大戦期の機械工業の活況はなぜ生じたのか。3行以内で述べなさい。
B ⑵はサンフランシスコ平和条約が発効した直後の状況を示す。この時期の機械工業の活況はどのような事情で生じたのか。3行以内で述べなさい。


解法のヒント