年度 1976年
設問番号 第1問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
天皇や貴族に代表される日本古代の支配者は、巨大な墳墓や、荘厳かつ華麗な寺院をつくった。(ア)5世紀初めごろの築造と考えられる仁徳陵古墳や(イ)8世紀中ごろに造立された東大寺の大仏、そして(ウ)11世紀の中ごろに完成した平等院鳳凰堂などは、その典型というべきものである。
しかし、同じく古代の支配者がのこしたものであるとはいっても、これら三者のあいだには、つくられた年代のへだたりを反映して、背景となる宗教思想や、造営のための技術者や労働力の編成のしかたなどに、相違があると考えられる。そして、そのような相違をつうじて、われわれは時代の大きく移り変っていく姿をとらえることができる。
〔設問〕
(A) 豪族や大王(天皇)などの墳墓として、なぜ巨大な古墳が築造されるようになったと考えられるか。30字以内で述べよ。
(B) (イ)・(ウ)の寺院がつくられた事情について、それそれ80字以内で述べよ。
(C) これらの墳墓や寺院がつくられるにあたっては、どのような技術者や労働力が主として動員されたと考えられるか。(ア)・(イ)の二つの場合にかぎって、下記のa〜hのなかからもっとも適当と思われるものをそれぞれ一つえらび、その符号を記せ。
a.朝廷の支配する屯倉の民と品部
b.寺領の荘園に使役されている奴婢と農民
C.諸国から徴発された公民と官司に所属する技術者
d.貴族の荘園や公領の農民と寺院に所属する職人
e.対外戦争によって連れてこられた奴隷と技術者
f.寺院に所属する渡来系氏族の集団と奴婢
g.大王や諸豪族の支配下の集落の農民と技術者
h.中央の諸官司に出仕する雑徭の民と技術者
(D) (イ)の時期から(ウ)の時期までのあいだに、貴族の経済的な基盤はどのように変化したと考えられるか。下記の四つの語句を文中に必ず用いて、200字以内で述べよ。(同一の語句を2回以上用いても差し支えない。それらの語句を使用した個所には必ず下線を付せ。)
寄進地系荘園 調・庸 浮浪 禄