年度 1984年

設問番号 第2問


僧行基は、当時、寺院にこもって学問と修行につとめる僧が多かったなかで、国々をめぐって人々に教えを説き、人々の協力をえて、橋をかけ、灌漑施設をつくるなどの事業を行った。このような行基の活動を支持し、行基の集団に加わる人々は、時には千人以上にも達したという。朝廷は最初、行基の活動を抑圧したが、聖武天皇の時代になるとその態度を変え、731年(天平3)には、行基に従う人々に、年齢によっては出家を認めるようになり、行基も、743年(天平15)から天皇が始めた大事業には、弟子たちを従えて積極的に参加し、のちには仏教界最高の大僧正の地位にまでついた。

〔設問〕

(A)行基の活動が最初朝廷に抑圧された理由は何か。(B)朝廷がのちに行基を重んじるようになった背景は何か。当時の政治・社会情勢や、朝廷のそれに対する政策との関連に注目しながら、各自の考えを(A)(B)各4行以内で述ベよ。