年度 1999年

設問番号 第3問


次の(1)〜(5)の文章は,江戸時代の有力な商人たちが書いた,いくつかの「家訓」(子孫への教訓書)から抜粋し,現代語に訳したものである。これらを読んで,下記の設問に答えよ。

(1) 家の財産は,ご先祖よりの預かりものと心得て,万端わがままにせず,子孫へ首尾よく相続するように,朝暮心掛けること。

(2) 天子や大名において,次男以下の弟たちはみな,家を継ぐ長男の家来となる。下々の我々においても,次男以下の者は,長男の家来同様の立場にあるべきものだ。

(3) 長男については,幼少のころから学問をさせること。ただし,長男の成長が思わしくないときは,これに相続させず,分家などの間で相談し,人品を見て適当な相続者を決めるように。

(4) 血脈の子孫でも,家を滅亡させかねない者へは家の財産を与えてはならない。このような場合には,他人でも役に立ちそうな者を見立て,養子相続させること。

(5) 女子は他家へ嫁がされるものだ。親の家に暮らす子供のうちから気ままに育てられると,嫁ぎ先の家で辛抱することができなくなり,これがついには離縁されるもととなる。親元で厳しくされれば,他家にいるほうがかえって楽に思えるようになるものだ。

設問

江戸時代の有力な商人の家における相続は,武士の家とくらべてどのような特徴をもったか。上の文章に見られる長男の地位にふれながら,5行以内で述べよ。