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年度 2016年

設問番号 第3問


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【解答例】
1①憲政党②近衛文麿。
2輸入超過が続いて正貨の流出が進み,政府紙幣の増刷や国立銀行の乱立によって不換紙幣の流通量が増加するなかでインフレが進み,政府財政が悪化していたため,その状況を抜本的に改革する経済政策を進めた。工場払下げ概則を廃止して官営事業の払下げを促進し,財政赤字の抑制をはかるとともに,増税により歳入を確保し,軍事費を除いた歳出を削減する緊縮財政を採用し,余剰により紙幣整理と正貨の蓄積を進めた。一方,日本銀行を設立して発券権を集中させたうえで,銀兌換の日本銀行券を発行し銀本位制を確立した。
3無政府主義や共産主義を掲げる結社の弾圧を目的とした。
4日本国憲法では憲法改正の発議には国会議員の3分の2以上の賛成が必要であると規定されていた。当時の鳩山一郎内閣が自主憲法の制定を掲げており,改憲阻止のためには3分の1の議席の確保が必要だった。
5中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へ変わった。
(総計400字)

(別解)
1①憲政党②近衛文麿。
2政府は,工場払下げ概則を廃止して官営事業の払下げを促進し,財政赤字の抑制をはかるとともに,増税により歳入を確保し,軍事費を除いた歳出を削減する緊縮財政を採用し,余剰により紙幣整理と正貨の蓄積を進めた。一方,日本銀行を設立して発券権を集中させたうえで,銀兌換の日本銀行券を発行し銀本位制を確立した。
3虎ノ門事件に象徴されるように社会運動が激化するなか,普通選挙法で無産政党が議会に進出し,日ソ基本条約によるソ連との国交樹立で共産主義者の活動が活発化することが警戒されたため,無政府主義や共産主義を掲げる結社を取り締まることを目的とした。
4日本国憲法では憲法改正の発議には国会議員の3分の2以上の賛成が必要であると規定されていた。当時の鳩山一郎内閣が自主憲法の制定を掲げており,改憲阻止のためには3分の1の議席の確保が必要だった。
5中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へ変わった。
(総計400字)


【解法の手がかり】
問われているのは,明治十四年の政変で大隈重信が下野した後の政府の経済政策。
大蔵卿松方正義が行った経済政策について説明すればよい。

問3 類題:1999年第2問,1986年第3問
問われているのは,護憲三派内閣が治安維持法を成立させた目的。
国体の変革や私有財産制度の否認をめざす結社,要するに無政府主義や共産主義を掲げる結社を取り締まるという目的を説明しておけば十分である。
もちろん,治安維持法が制定されるにいたった背景をあわせて説明してもよい。
背景は,普通選挙法の制定(無産政党の議会進出を警戒),日ソ基本条約によるソ連との国交成立(共産党の活動が活発化することを警戒),虎の門事件に象徴される社会運動の過激化。

問4
問われているのは,社会党が衆議院の3分の1の議席の確保を重視した理由。
当時の鳩山一郎内閣が自主憲法制定を掲げていたこと,日本国憲法では憲法改正の発議には国会議員の3分の2以上の賛成が必要であったことを念頭におけば,内閣による改憲を阻止することが大きな理由だったことがわかる。
なお,この問題での対象時期は社会党の統一直前で,保守合同がまだ成立していない段階である。保守勢力が日本民主党と自由党に分立している情勢のもとでは,左右両派あわせて3分の1の議席を占め,再統一を果たせば,社会党政権の樹立への展望も開ける。この点について触れてもよい。

問5
問われているのは,細川内閣による政治改革の結果,衆議院の選挙制度はどのように変わったか。
中選挙区制→小選挙区比例代表並立制