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年度 2008年

設問番号 第2問


次の3つの文章を読んで下記の問いに答えなさい。(問1から問4まですべてで400字以内)

A (1)日本経済は第一次大戦の影響をうけて急激に成長した。1914年末から1918年末にかけて企業数は約1.5倍,資本金総額は2倍以上に増えた。(2)この結果,1920年代には,民間会社のサラリーマン(給与生活者)*を中心とする都市中産階級が増加した。彼らは,(3)衣食住の生活文化全般に新しい様式を取り入れただけでなく,思想芸術を教養として身につけ,親子中心の家庭生活を営んだ。こうした文化状況は,1920年代半ばから,ジャーナリズムや文化産業の発達と相まって大衆文化としての特色を強く持つようになった。
B 中間階級*とは,つまり国民教育に於て与えられる普通教育以上の教育を受け,其の職業に於て純粋なる身体的或は器械的労働をなさず,大なり小なり精神的なる労働をなして,身体的労働を指揮し或は管理する人々をいう。
(米田庄太郎『現代社会問題の社会学的考察』1921年)
C 旧中産階級の減少に伴いて,日々に増加しつつある新中等階級*,即ち有識無産の精神的,技術的労働者,換言すれば俸給生活者階級,此等の階級の擁護は,現時特に緊急の問題なりとす。
(東京府内務部『東京市及近接町村中等階級生計費調査記述篇』1925年)
*文章Aの「サラリーマン(給与生活者)」と文章Bの「中間階級」,文章Cの「新中等階級」は同じ階層さす言葉と解釈して解答しなさい。

問1 文章Aの下線部(1)について,第一次大戦が日本経済を急激に成長させた理由を,輸入・輸出・国内市場の3つの側面での変化がわかるように大戦の影響とその結果を明示して,具体的に説明しなさい。
問2 文章BおよびCを参考にして,文章Aの下線部(2)を具体的に説明しなさい。
問3 文章Bの「普通教育以上の教育を受け」た層の増大を可能にした条件は,教育への意欲の高まりと中・高等教育機関の整備・拡充であった。このうち,大学について,原内閣の改革に焦点をあてて具体的に説明しなさい。
問4 文章Aの下線部(3)を具体的に説明しなさい。


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