過去問リストに戻る

年度 1984年

設問番号 第1問


平安時代の宗教について述べた次の文章を読み、下記の問い(1)〜(4)に答えよ。(300字以内)

 奈良時代の仏教は、法会や祈祷によって国家に奉仕し、教理を研究する学派を形成していた。これに対して、平安時代初頭に成立した天台宗と真言宗は、鎮護国家をとなえて国家の保護をうけていたが、宗教としての独自性と自立性をつよめ、(ア)密教を重んじて、貴族層から熱心に支持された。浄土教は、独立した宗派ではなかったが、末法思想の流行とあいまって(イ)10世紀ごろから急速にひろがり、(ウ)その影響は文学や美術にも及んだ。また、伝統的な神祇信仰と仏教との結びつきが深まり、神仏習合がさらにすすんで、(エ)神仏関係についての新しい説明の仕方がひろく行われるようになった

(1) 下線部(ア)について、密教とはなにか、またそれが貴族層の熱心な支持をえた理由はどこにあったか、簡単に説明せよ。
(2) 下線部(イ)について、平安時代に浄土教の信仰がひろがった事情を、社会的背景と教理とを結びつけて、簡単に説明せよ。
(3) 下線部(ウ)について、藤原頼通の建立した有名な寺院を例にあげて、浄土教の影響が美術(建築・彫刻・絵画)の領域に及んでいることを説明せよ。
(4) 下線部(エ)について、この下線部分を表現する歴史的用語を漢字で記し、その内容を具体例をひとつあげて説明せよ。