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年度 1999年

設問番号 第3問


次の文章を読み,下記の問いに答えよ。(400字以内)

 1955年以降の日本の高度経済成長は,日本の経済・社会に大きな変化をもたらした。まず1964年,日本は(1)開放経済体制に移行して先進資本主義諸国の仲間入りを果した。企業の面では,6大(2)企業集団が経済成長を牽引する経済主体として重要な役割を果した。労働の面でも,(3)1955年に新しい労働運動が起り,また64年には労働組合の新たな潮流が形成された。いっぽう農業の面では,(4)1961年に新しい法律が制定され,その法律の効果とあいまって,農業部門から工業部門への人口移動が促進され,経済成長のための豊富な労働力を供給することとなった。その結果,第一次産業人口の割合は,1960年の30.2%から70年には17.4%にまで急減した。

問1 下線部(1)の内容を具体的に述べよ。
問2 下線部(2)の特徴を3点記せ。
問3 下線部(3)の1955年と64年を画期とする新しい運動と潮流について具体的に述べよ。
問4 下線部(4)の新しい法律名とその内容を簡潔に記せ。


【解答例】
1国際通貨基金8条国に移行して国際収支上の理由で為替管理ができない国となり,経済協力開発機構に加盟して資本の自由化を義務づけられた。
2企業集団は,旧財閥系銀行の融資を軸として系列を形成し,諸企業が株式持合により結びつき,社長会などによる人的結合のもとで協調的取引を行った。
31955年には春闘が始まった。企業ごとの賃上げ交渉の時期を春季に集中させ,業績がよい企業が高い賃金相場を確保し,それを他企業へも波及させようとするもので,総評を中心として展開され,労働者の所得水準向上に大きな役割を果たした。1964年には総評に対抗して同盟が結成された。民間大企業の企業別労働組合による連合体で,労使協調路線をとり,経営者側の主導する生産性向上運動に積極的に協力する新しい潮流が形成された。
4農業基本法。農工間格差の是正を目的に,零細農家の離農を促進するとともに,経営規模が大きく生産性の高い自立農家の育成をめざした。
(総計400字)