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年度 2006年  設問番号 第4問(2)

テーマ 元禄〜天明期の江戸幕府の貨幣政策

発問の類型 展開過程


将軍徳川綱吉のいわゆる元禄時代から,田沼意次が失脚した天明年間にいたるまでの江戸幕府の貨幣政策について述べよ。


【解答例】
財政難に陥った幕府は,元禄期に出目獲得を目的に品位を落とした元禄金銀を鋳造したが,かえってインフレを招いたため,正徳期に品位を慶長金銀に戻した。享保改革では当初,正徳期の政策を継承したが,のち,物価調節のため品位・量目を落とした元文金銀を鋳造した。その結果,貨幣流通量が増大し,商品流通が活発化すると,金銀貨の二元的な貨幣制度が経済発展の障害と考えられ,天明期に南鐐二朱銀を発行して一本化をめざした。
(別解)幕府財政が窮乏した元禄時代には,慶長金銀より品位を下げた金銀貨を鋳造し,収入増を図ったものの,物価騰貴を招いた。そのため正徳の治では,再び貨幣を改鋳して慶長金銀と同品位に戻し,物価騰貴の抑制を図った。やがて田沼時代になると,民間での経済活動の活発化に伴って,江戸の金遣い・上方の銀遣いという二元的な貨幣制度が支障をきたすようになっため,南鐐二朱銀などの計数銀貨が鋳造され,金銀貨の一本化が試みられた。