年度 2008年

設問番号 第3問


 次の(1)〜(3)の文章は,松平定信の意見の一部(現代語訳)である。これらを読んで,下記の設問A・Bに答えなさい。

(1) 昔から,「耕す者が一人減ればそれだけ飢える者が出る」と言うが,去る午年(1786年)の人別帳を見るとその前回の調査人数と比較して140万人も減少している。その140万人は死亡したのではなく,みな離散して人別帳に記載されなくなったのである。
(2) 人々が利益ばかりを追求し,煙草を作ったり,養蚕をしたり,また藍や紅花を作るなどして地力を無駄に費やし,常に少ない労力で金を多く稼ぐことを好むので,米はいよいよ少なくなっている。農家も今は多く米を食べ,酒も濁り酒は好まず,かつ村々に髪結床などもあり,農業以外で生計を立てようとしている。
(3) 近年水害なども多く,豊作とよばれる年は数えるほどで,傾向として米は年をおって減少している。その減少した上に不時の凶作があれば,どれほど困難な事態が生じるであろうか。恐ろしいことである。
(『物価論』)

設問
A 当時の農業や食糧について,定信はどのような問題があると認識していたか。2行以内で述べなさい。
B その問題に対処するため,定信が主導した幕政改革では,具体的にどのような政策がとられたか。4行以内で述べなさい。


解法のヒント