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00127/00128 GED01324  つかはら         RE^2:日本史】近現代史を教える(4)
( 6)   95/06/04 15:25  00121へのコメント


------> #121  八幡 英幸くん

いい加減かましてたところを質問されて、一瞬うろたえてしまいましたが(^^;

まず 
>>つまり、朝鮮・琉球に対しては、欧米諸国が域外の諸国に対してす
>>るのと同じように、一段下に見下した態度をとります(北朝鮮に対しては強硬な姿
>>勢を見せるのに、同じように核疑惑のあるイスラエルには寛容的なアメリカ政府や
>>日本のマスコミの姿勢と似てますねって話は 少し前なら非常に時事性が高かった)。

の件です。

“対等”か“格下”か というようなことを想定していたのではなくて、
“仲間内に適用する基準と 仲間外に適用する基準が ずれている”という例として
出したのです。つまり、

[明治初期]
  +-------------------------------------------------+
    |                                                 |
  | イギリス ←-----対等-----→ フランス(など)   |
    |        「万国公法」にもとづく                 |
    +--------------------+----------------------------+
                         |
                         +--適用外--> 中国・日本など

  ≪日本の為政者の 意識 というか 目標≫
  +-------------------------------------------------+
    |                                                 |
    |   日本 ←---------対等-----→ 欧米諸国     |
    |                                                 |
    +--------------------+----------------------------+
                         |
                         +----------> 朝鮮

 [現在の核疑惑]
   +------------------------------------------------+
     |                                                |
     |   アメリカ・日本 ----許容---> イスラエル       |
     |                                                |
     +---------------------+--------------------------+                        
         
                           |
                           +---------> 北朝鮮
     (イスラエルに対する基準とは別の基準を用いる)

これでは いい加減すぎますか?(^^;>八幡くん

>>>>(蝦夷地=北海道の「
>>>>開拓」というのは 「植民」と表現すべきだと私は思います)。
>>
>>この「植民」という言葉は、どう規定していますか?

(1) ある一定の社会集団が その集団が属している国家の支配地あるいは 
  支配地とすべく触手をのばしている地域へ 移住し、
(2) 社会的経済的に活動することであり(単なる軍事的征服は含まない)、
(3) その地域が 移住する社会集団にとって“新たな地域”であると意識
  されていることが必須の要件−固有の地域であるという集団意識が
  形成された段階で「植民」という現象は終止(それは 植民集団が
  本国から独立するという形をとる場合もある)−。

という風に規定しています。

ところが、「開拓」は、“固有の地域”であると意識されている地域に対する
社会的経済的な活動を指す言葉だと 考えています。

 なお、「開拓」という言葉をもちいる場合 たいていは 農業地域あるいは工業
 地域として「切り開かれる」ことを無意識のうちに前提としており、その地域
 が別の利用のされ方をしていたこと(狩猟や漁労など)を看過させてしまう言
 葉だと私は判断しています(「開化」という言葉も似たニュアンスがあります)。

また、「困窮した内地民を近接した地域に流出」とだけいうのであれば、日本に近
接しているハワイやフィリピン、それからアメリカ・ブラジルへの「移民」との区
別がつきにくくなります。

それに 北海道の「開拓」は 製紙工場やビール工場の建設など 政府主導で 欧米の
技術を投入する形でおこなわれていますし、また のちには 北海道の資源開発が
政商に委ねられていきます。また、 「困窮した内地民を近接した地域に流出させ
る」という評価のもとになっている「屯田兵」にしても 困窮する士族への授産だ
けが目的ではありません(もっとも #110 は そう読める記述になってますが(^^;)。
はじめのうちは 旧武士にのみ限られていたので 士族授産の手段にもなっている
のですが、北海道内の治安保持の役割が期待されるとともに、ロシアに対する北方
の守りとしての意味がありました。

 その証拠に 樺太・千島交換条約が締結されて ロシアとの緊張が薄らぐと 屯田兵
 の募集はいったん打切られてしまい、募集が再開するのは ロシアがシベリア鉄道
 の建設を計画してシベリア・極東に積極的に乗り出してくる 明治20年代のことな
 のです(夏堀正元『明治の北海道』岩波ブックレット を参照)。

ですから、蝦夷地=北海道を 自国の支配地域としてしっかり確保するために、そし
て そこに存するさまざまな資源を活用するために 行われた活動なので、それは
「植民」と称する方が適切だと思っているわけです。

PS
ちょっとオーバーワークぎみで 連載の方は顎があがってまして(^^;、第5回の文章
は 途中までできているんですけど、まだ完成してません(^^;。

つかはら

00731/00738 GED01324  つかはら         RE^2:日本史】近現代史を教える(4)
( 6)   95/10/15 11:57  00725へのコメント  コメント数:1


------> #725  森川英純さん

どうも(^_^)。

この連載ですが、使っている概念がけっこうあやふやですので、びしびし指摘して
やって下さい。私自身、それを期待してアップしてますので。

>>(1)四民平等について

江戸時代の場合、職能にしたがって人びとの社会的な役割が区別され、それが世襲
されており、その世襲される職能を「身分」とよんでいますよね。ところが、明治
になって登場する「新しい身分」は 職能によって区別されているわけじゃなく
て、“遺制”であるとともに、社会的なステータスとして新たに機能することを期
待されたものです。
そして、明治維新のなかで、武士やそれに準ずる身分の公家などにしか、原則とし
ては認められていなかった苗字が 百姓・商人・職人・穢多・非人にも認められる
ようになったり、また、職業や移転の自由が認められるようになったりします。つ
まり、“世襲される職能”が原則としては否定されるわけです(天皇家を除いてで
すが)。

というわけで、四民平等を実現すること(後者)を通じて 新たな身分制度へと再
編成をすすめていく(前者)という話になると私は考えています。ただ、“世襲さ
れる職能で厳密に区別されているわけではないので、「身分」ではなくて違う表現
を用いた方がよいと思うのですが、ちょっと私は適切な表現がうかばない(^^;なん
か適切な表現はないんでしょうか?
ただし、皇族、公家・大名(→華族)、穢多・非人(→新平民)の存在は特に 身
分制度が再編成されただけの話だと表現したくなる点ですね(まぁ、人権宣言を発
したフランスに確固とした階層差が存在することと似ているように思いますが)。

>>(2)地租改正について

>>たしか太閤検地では一地一作
>>人とかいって、その作人(=実際に耕作している者)を土地所有者
>>にして税を取り立てたという風に理解していたのですが。

そこのところについてはちょっと私は理解に自信がないですが(^^;.......
実際に耕作しているものを検地帳に登録し、耕作放棄を禁ずるとともに年貢負担の
義務を課したわけだけれども、それによって耕作者の土地所有権を法認したわけじ
ゃないと、私は理解しています。そもそも、排他的な処分権がないわけですから、
土地所有じゃなくて土地所持(保有・占有)という表現のほうが適切だと思います
(ここで、こういう言葉づかいに厳密になるんなら、上記の四民平等のところでは
「身分」という表現は使えんな(^^;)。

こんなところでしょうか。

つかはら

00744/00745 GED01324  つかはら         RE^4:日本史】近現代史を教える(4)
( 6)   95/10/22 11:18  00734へのコメント


------> #734  森川英純さん

どうも(^_^)

>> 地租改正の件ですが、大名などの領有をなくして、重層的ではない単一の個
>>人の所有権を確立したということでしょうか。

大名の領有権自体は廃藩置県で消滅していますから、ちょっと話がずれるのではな
いかと思います。もちろん、“重層的ではない”という話をするときには大名など
の領有権(あるいは領主権)をも念頭においておいた方がよいと思うのですが(排
他的な処分権が認められるようになるんですから)、ことを地租改正に限定する
と、土地所有権を確定することによって納税者を確定しているわけですから、やは
り大名などの領有権がその過程で否定されたというわけではないです。

じゃぁ、地租改正において土地に対するどのような権利関係が保証され、あるいは
保証されなかったかと言えば、江戸中期から土地の売買・質入れが広範な形でおこ
っていて、土地耕作者と土地保有者(そろそろ所有者と呼んでもよい段階かとも言
えますが)とが別個に存在するようになっていたわけですから、そのうちの土地耕
作者の土地に対する権利関係は保証されることなく(元来の納税者)、土地保有
者(所有者)の土地所有権だけが保証されることになったということになります。
ですから、その点については指摘されているとおりだと思います。

PS
>>  また、今週の歴史ですが......

どうもご利用 ありがとうございますm(..)m

つかはら


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