縄文時代になると,定住生活が開始されるようになる。集落と墓に焦点をあてながら,縄文時代の社会の特徴について述べなさい(200字程度)。
<解法の手がかり>
縄文文化を簡単に定義づけたうえで,集落と墓の内容を説明し,そのあり様を弥生文化と対比して「特徴」(弥生文化との違い)を説明すればよい。
◎縄文文化とは?
気候が温暖化し,生活環境が変化・多様化するのに対応して採取中心の文化が成立
① 集落
小規模な集落を形成して定住(大規模な集落が形成されることもあった)
住居の規模に差異がほぼみられない
② 墓
集落(の近く)に墓地
副葬品をもつものもあるが,多量の副葬品が集中するわけではない=同じように埋葬される
共同墓地
③ 集落と墓からわかること
身分が形成されていない=指導者(統率者)はいても身分として固定されず,収穫物を共同で分け合う社会
◎弥生文化とは?
水稲耕作が始まり定着するとともに金属器の使用をともなう文化
多量の副葬品をもつ墓や大型の墳丘墓が出現=地域(複数の集落)をまとめる支配者が出現
<解答例>
気候の温暖化して自然環境が変化し,中小動物や植物性食料が豊富となるとともに海進が進み,安定した採取経済を基本とする縄文文化が成立した。そのなかで定住生活が本格化し,水辺に近い台地のうえに竪穴住居からなる集落が作られ,付属して墓地も営まれた。集落では竪穴住居の規模や構造に大差がなく,墓地では多量の副葬品が特定の墓に集中して発見されることがないため,指導者はいても身分として固定されず,収穫物を共同で分け合う社会であったと考えられる。(216字)