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1604(慶長9)年に幕府は,糸割符制度を設けた理由について,その制度の内容にも触れつつ,具体的に述べなさい(200字以内)。


<解法の手がかり>

問われているのは,糸割符制度を設けた理由で,条件として制度の内容にも触れることが求められている。
理由が求められたときは背景・原因と目的・意図という2つの観点から考えればよい。その点を意識できていれば字数を確保することができる。

① 内容
京都・堺・長崎の特定商人に糸割符仲間を作らせる
ポルトガル船がもたらす中国産の上質な生糸を独占購入させる
糸割符仲間がポルトガル商人との協議のうえで価格を決定し,長崎で独占購入
② 背景
16世紀半ばに日明間の勘合貿易が断絶
倭寇とも呼ばれる中国人密貿易商の活動は16世紀半ば,明による取り締まりの強化と海禁政策の緩和により後退 ※ここは書けなくてよい
マカオを拠点とするポルトガル船が日明間の中継貿易に従事し,中国産生糸を独占的に輸入し,日本産の銀と交換して多くの利益をあげていた
③ 目的・意図
ポルトガルとの貿易を長崎奉行の管轄下にくみこむ
ポルトガル商人の利益独占を排除する
生糸の国内流通を統制する


<解答例>
16世紀半ばに日明間の勘合貿易が断絶して以降,マカオを拠点とするポルトガル船が日明間の中継貿易に従事し,中国産の生糸を日本産の銀と交換して利益をあげていた。それに対して江戸幕府は,京都・堺・長崎の特定商人に糸割符仲間を結成させ,ポルトガル船がもたらす中国産生糸を長崎で独占購入させる糸割符制度を設けた。これによって生糸貿易を長崎奉行の管轄下におき,ポルトガル船の利益独占を抑えるとともに,生糸の国内流通の統制をはかった。(209字)