年度 2023年
設問番号 第3問
【解答例】
1①鉄血勤皇隊。②非核三原則。
2鈴木貫太郎内閣は中立条約を結んでいたソ連を仲介とする終戦工作を行おうとした。しかし,ソ連はすでにアメリカ・イギリスとの間でヤルタ協定を結び,南樺太・千島列島の領有などを認められる代わりに,ドイツ降伏後の対日参戦を密約しており,実現しなかった。
3サンフランシスコ平和条約は,朝鮮戦争が勃発するなか,日本を共産主義の防壁として重視したアメリカが主導して締結され,西側諸国だけとの単独講和であった。たとえば,中国が招かれず,インドなど中立陣営の国々が招かれたものの参加せず,ソ連など東側諸国は参加したものも条約に調印しなかった。そのため,国内では総評などが全ての交戦国を対象とする全面講和を求め,政府を批判した。
4嘉手納基地。
5経済成長が最優先された結果,大都市圏では大気汚染などにより生活環境が悪化していた。そのため,公害の規制や福祉の充実などを求める動きが広がっていた。
(総計400字)
(別解)
1①鉄血勤皇隊。②非核三原則。
2鈴木内閣は,中立条約を結んでいたソ連を仲介とする終戦工作を行おうとした。しかし,ソ連はすでにアメリカ・イギリスとの間でヤルタ協定を結び,南樺太・千島列島の領有などを認められる代わりに,ドイツ降伏後2〜3カ月後の対日参戦を密約しており,実現しなかった。
3サンフランシスコ平和条約は,朝鮮戦争が勃発するなか,共産主義の防壁としての日本の戦略的価値を重視したアメリカが主導して締結され,西側諸国だけを対象とする単独講和であった。そのため,国内では総評などがソ連など全ての交戦国を対象とする全面講和を求め,政府を批判した。
4嘉手納基地。
5経済成長が最優先され,都市計画や環境アセスメントへの配慮が遅れた結果,大都市圏では都市の過密化,交通渋滞や交通事故の多発,大気汚染,水質汚濁などにより生活環境が悪化していた。そのため,公害の規制や福祉の充実などを求める動きが広がっていた。
(総計400字)
【解法の手がかり】
リード文を読んで,沖縄史の出題かと思ったら,沖縄に関する論述問題が全くない。なんだか肩透かしで,悲しい問題だ。
問1は説明不要だろう。
問2
問われているのは,沖縄戦が始まるという状況のなかで,本土決戦の準備と並んで日本政府が進めた外交交渉。
これは鈴木貫太郎内閣のもとで行われたソ連を介した終戦工作。この和平交渉の仲介がどのようなものであったか,そして,どのような結末となったか(ソ連が消極的であったこととその事情)について説明できればよいが,難問か。
問3
問われているのは,サンフランシスコ平和条約の締結をめぐり,日本国内でなされた批判。
アメリカ主導の単独講和に対して全面講和が主張された。この全面講和論について説明すればよい。
ただし,この設問で字数をかせぎたいので,「批判」だけを説明するのではなく,サンフランシスコ平和条約がなぜ批判されたのかについても説明したい。サンフランシスコ平和条約がアメリカ主導の単独講和であったこと,その背景,どのような国々が参加していなかったか,これらをしっかり説明しておきたい。
問4
嘉手納基地が極東最大のアメリカ空軍基地であることを想起すればよい。
問5
問われているのは,佐藤栄作内閣の時期,大都市圏で革新自治体が数多く成立した経済的・社会的背景。
まず,革新自治体(あるいは革新首長)が何を主張し,実現させようとしたのかを考え,その背景を高度経済成長に関連づければよい。
革新自治体(革新首長)の主張・政策
◦福祉政策=人々の生存や福祉の重視(健康で文化的な最低限度の生活を確保すること)をめざす
例)公害の規制や高齢者医療の無料化
関連づけは,経済成長が最優先されたこと(都市計画や環境アセスメントへの配慮の遅れ・欠落)により,都市の過密化,交通渋滞や騒音・大気汚染などの都市公害が深刻となり,生活環境が悪化していたことを指摘しておきたい。