年度 2005年
設問番号 第3問
次の文章は,1945年12月1日の「戦争責任ニ関スル決議」の一節である。これを読んで,下記の問いに答えよ。(問1から問4まですべてで400字以内)
惟フニ戦争責任ナルモノハ,コレヲ国際的ニ稽フレバa)世界平和ヲ撹乱スル無謀ノ師ヲ起コサシメタル開戦責任ト,b)開戦後ニ於テ国際条規ニ背反スル惨虐行為ヲ行ヒタル刑事犯罪トニ止ル。宣戦以後国家ノ命令ニ奨順シテ合法的ニ戦争遂行ノ為職域ニ挺身シタル一般国民ニ及ブベキモノニアラズ。 翻テ今次敗戦ノ因ツテ来ルトコロヲ観ズルニ,軍閥官僚ノ専恣ニ基クコト素ヨリ論ナシト雖,彼等ニ阿附策応シ遂ニ国家国民ヲ戦争強行ニ駆リタル政界財界思想界ノ一部人士ノ責任モ亦免ルベカラザルトコロナリ。 c)我等職ニ立法ノ府ニ列ル者亦静カニ過去ノ行蔵ヲ反省シ深ク自粛自戒シ新日本建設ニ邁進セザルベカラズ。
問1 下線部a)の「開戦責任」を追及するために,どのような措置がとられたか,具体的に説明せよ。また,「開戦責任」を追及する際の根拠とされた条約を一つあげよ。
問2 下線部b)の「刑事犯罪」を追及するために,どのような措置がとられたか,主たる犯罪を一つ例示しながら,具体的に説明せよ。
問3 戦時体制が強化される中で,下線部c)の「立法ノ府ニ列ル者」も,しだいに議会政治の空洞化に同調していった。日中全面戦争以降の議会政治の歴史の中から,こうした事例を二つあげ,その各々がどのような意味で議会政治の空洞化につながったのか,具体的に説明せよ。
問4 「立法ノ府ニ列ル者」は,その後どのような形でその責任を追及されることになったのか,講和条約発効前後の時期における変化にも言及しながら,具体的に説明せよ。