過去問リストに戻る(大問ごと)(小問ごと)

年度 1990年

設問番号 第2問


次の〔語群〕は,おもに第一次大戦から1930年ころまでの都市とそこに住む人々のあり方,あるいは都市的と考えられる事象を取りあげてある。これらを参考にしながら,次の文章を読み,下記の問いに答えよ。(400字以内)

 日露戦後,とくに第一次大戦から昭和初期にかけて,都市は大きな変貌をとげた。総生産額にしめる工業生産額の割合が飛躍的に高まり,都市人口・労働者人口が急速に増大するとともに,人々の職業や生活様式にも大きな変化がみられるなど,総じて都市の影響が各方面で強まり,こうした変化が,この時期のさまざまな事件や運動,文化的な動きのおこる重要な要因のひとつとなった。

問い 下記の〔語群〕の語句を用いて,第一次大戦から1930年ころまでの都市の発展と変容の外観を上の下線部の意味がわかるように具体的に記述せよ。記述にあたっては,〔語群〕から10語以上を用い,用いた語句には下線を施すこと。ただし,語句のあとの(  )内は参考につけ加えたものなので,記述にあたって(  )の部分まで引用する必要はない。

〔語群〕
大戦景気 米騒動 日本労働総同盟 関東大震災 大正デモクラシー 普選運動 大学令・高等学校令(1918年) 自由教育運動 俸給生活者(サラリーマン) 職業婦人 百貨店(l920年代) 築地小劇場 大衆文化 ラジオ放送(1925年) 円本(1926年) 文化住宅 スポーツ プロレタリア文化運動


【解答例】
大戦景気にともなう経済発達を背景として,第二次・第三次産業に従事する労働者や俸給生活者が増加して都市人口が急増すると共に,郊外に文化住宅が立ち並ぶ住宅地が開発され,都市域が拡大していった。こうした都市化の進展にともない,新聞・雑誌・映画だけでなく,新しく始まったラジオ放送など,マスメディアが発達し,大衆文化が広がった。都心や郊外電車のターミナルには百貨店がたち,繁華街にモボ・モガが闊歩する一方,衣服や食生活の洋風化が進んだ。他方,都市人口の急増にともなって米価など物価が上昇し実質賃金の低下をもたらしたため,米騒動以降,さまざまな社会運動が発展した。普通選挙を求める普選運動が高まり,文化面では子どもを主体とした教育をめざす自由教育運動が展開するなど,大正デモクラシーと呼ばれる民主主義的な風潮が高まった。さらに労働運動も高揚し,労働者を主体とした文化形成をめざすプロレタリア文化運動も展開した。(400字)