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年度 1990年
設問番号 第3問
次の文章を読み,下記の問いに答えよ。(400字以内)
1955年以降1973年のオイル・ショックにいたる期間に,日本は,世界に類をみない経済の高度成長を達成した。高度成長をとおして日本の経済社会は大きく変貌し,(問1)新産業を中心とした重化学工業化が急速にすすむ一方,(問2)就業構造も激変した。(問3)農地改革・財閥解体・労働改革を中心とした戦後改革は,日本のこうした高度成長をうながす歴史的前提条件をつくりだした。
問1 高度成長期の重化学工業の特徴を,とくに戦前の1930年代の重化学工業化との対比で具体的に述べよ。
問2 高度成長期の就業構造の変化の特徴を記せ。
問3 下線部分を具体的に説明せよ。
【解答例】
11930年代の重化学工業化は,満州事変以降の軍事費増額を中心とする積極財政と低為替による保護貿易策のもと,軍需産業を中心として進展した。それに対して高度経済成長期の重化学工業は,国内消費市場の拡大と安価な石油の輸入を背景として自動車・家電などの耐久消費財産業,石油化学工業など民需部門を中心に発展し,さらに技術革新・設備投資が進んで国際競争力が強化され,輸出を拡大した。
2鉱工業で就業する第二次産業人口が急増して農業人口が激減し,兼業農家でも農業外収入を主とする第2種兼業農家の比率が高まった。
3農地改革により多くの自作農が創設され,農家所得水準の向上が図られ,労働改革によって労働者の権利が保証され,低賃金構造が改善されたため,国内消費市場の拡大がもたらされた。また,財閥解体により財閥家族・財閥本社による支配が排除されたため,系列企業の自立化が進み,企業間の自由競争を生む前提条件が作り出された。
(総計399字)