年度 1994年
設問番号 第3問
次の史料は,1955年11月15日,保守合同によって自由民主党が結党された際に採択された「党の政綱」の一部である。
党の政綱
一 国民道義の確立と教育改革
正しい民主主義と祖国愛を高揚する国民道義を確立するため現行教育制度を改革するとともに教育の政治的中立を徹底……する。(以下,略)
三 経済自立の達成
……国際労働憲章,国際労働規約の原則に従い健全な労働組合運動を育成強化して労資協力体制を確立するとともに,一部労働運動の破壊的政治偏向はこれを是正する。(以下,略)
五 平和外交の積極的展開
外交の基調を自由民主主義諸国との協力提携において国際連合への加入を促進するとともに,未締約国との国交回復,(中略)固有領土の返還及び抑留者の早期釈放を要求……する(以下,略)
六 独立体制の整備
(略)
問1 政綱一は,当時保守政党が極めて重視していた点である。この政綱を具体化する政策として,1950年代後半に,自由民主党政府は,「現行教育制度の改革」を含めていくつかの政策を実行しようとした。そのうち二つをあげ,そこに共通する特徴を述べよ。
問2 政綱三は,「健全な労働組合運動」の「育成強化」をうたい,その反面「一部労働運動の破壊的政治偏向」の「是正」を強調していた。この「一部労働運動」とはいかなる組織の運動を念頭に置いているか。また,その組織が,当時労働者の経済的生活の向上のために始め,その後社会に定着した活動の名称とその内容・効果について述べよ。
問3 政綱五にもとづいて,最初の自由民主党政府が行った政策とその結果について説明せよ。
問4 政綱六の「独立体制の整備」として,自由民主党は占領からの日本の国家的独立を完成することをめざす二つの大きな課題の達成を試みた。その二つの課題とは何か,それらの課題の実現がなぜ「独立体制の整備」と自覚されたのかも含めて説明せよ。
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