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年度 1996年
設問番号 第3問
1943年11月に開催された大東亜会議について,次の問いに答えよ。(400字以内)
問1 この会議では,戦争目的を明確にする必要にせまられて,大東亜共同宣言を採択している。満州事変・日中戦争・太平洋戦争を日本政府がそれそれどのような理念によって正当化しようとしてきたのかという点にも言及しながら,この宣言の内容を説明せよ。
問2 この大東亜共同宣言は,連合国側が共通の理念や戦争目的を明らかにするために,すでに早い段階で発表していた共同宣言に対抗することを強く意識して,作成されている。その連合国側の共同宣言について説明せよ。
問3 この会議は,「大東亜」地域を代表する国際会議としては,大きな限界があった。その限界について,代表を招請されていない地域や民族の存在,会議に参加している政権の性格などに留意しながら,具体的に説明せよ。
【解答例】
1政府は,満州事変を中国軍の攻撃に対する自衛措置と主張し,満州国建国を住民の自由意思による独立と認めた。日中戦争に際しては当初,暴支膺懲を掲げつつ,長期化すると,日満支三国提携による東亜新秩序の建設を戦争目的と表明し,太平洋戦争では米英の脅威に対する自衛措置と主張しつつ,欧米の植民地支配からの解放による大東亜共栄圏の建設を掲げた。これらをふまえ,大東亜共同宣言でも米英からの解放をめざした提携強化・戦争完遂と独立尊重などが宣言された。
2米英は領土の不拡大,民族自決などを内容とする大西洋憲章を発表し,太平洋戦争の開始直後には連合国共同宣言へ継承された。
3オランダ領東インド,イギリス領マライなどは独立が認められず,植民地の朝鮮や台湾などの代表も招請されなかった。政府が独立を認めたビルマやフィリピン,満州国は日本軍の傀儡政権であり,中国汪兆銘政権や自由インドは地域を代表する政権とすら言えなかった。
(総計400字)