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年度 1997年

設問番号 第2問


次の図をみて,下記の問いに答えよ。(400字以内)

地租と軍事費の推移
資料:『明治大正財政詳覧』『昭和国勢総覧』より作成。
注:臨時軍事費特別会計は除く。1904〜05年の軍事費比率の大きな落ち込みは同会計が除かれているため。1925年までの軍事費は「陸軍省所管」と「海軍省所管」の合計。

問1 Aの時期に軍事費の比率が急増している理由を述べよ。
問2 Aの時期に地租の比率が急減している税制上の理由を記せ。
問3 Bの時期に地租の比率が低下した経済的背景を述べよ。
問4 Cの時期に軍事費は比較的低い水準で推移しているが。これをもたらした国際的背景と日本の外交政策の特徴を述べよ。


【解答例】
1三国干渉や朝鮮問題を契機にロシアとの敵対関係が強まる一方,民党も富国強兵のための積極政策を主張したため,政府と民党が提携しつつ,ロシアを仮想敵国とする軍備増強が進められた。
2営業税が新設され,所得税や酒造税が増徴される一方,地租増徴は民党の抵抗により実現が遅れた。
3第一次世界大戦勃発にともなう大戦景気により,急成長する新興企業が続出して所得税が激増する一方,インフレが進行して定額金納制の地租は相対的な減収となった。
4ワシントン会議で東アジア・太平洋地域における列国の相互安全保障体制が整うとともに主力艦の建造禁止・保有量制限を定めた海軍軍縮条約が結ばれた。さらに,補助艦艇の保有量制限を定めたロンドン海軍軍縮条約も締結され,国際協調体制が展開していた。そのなかで,日本は英米協調を基軸とする外交政策を展開し,中国に対しても,一時的に軍事介入を行うことがあったものの,内政不干渉の立場を継続した。
(総計400字)