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年度 1987年

設問番号 第3問

テーマ 江戸幕府の農民政策と農民観/近世


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設問の要求は、江戸幕府の(1)農民政策の基調(農民政策の根底にある基本的な考え方)、(2)農民観(農民をどのような存在とみなしていたか)。

参考資料としてあげられている史料が田畑永代売買の禁令と慶安の触書であることはすぐに判断できると思うが(後者は明記してある)、まずは先入観にとらわれることなく史料の内容を把握しよう。

1.寛永20年3月の代官に対する法令
「身上よき百姓」と「身上成らざるもの」の階層差が激しくなるのを防ぐために田畑永代売買を禁止するとともに、「身上ならざる百姓」に対する保護を代官に命じている。

2.慶安の触書
封建領主・村役人への服従を説くとともに、農業や食生活に至るまで生活の細部にわたって規制を加えている(耕作効率の向上や勤労・倹約を強調)。

これらの内容把握をふまえて、農民政策の基調(基本的な考え方)と農民観を確認しよう。
農民政策の基調
小農経営の安定をはかる…模範的な農業経営のあり方を提示

階層分化の抑制・必要最小限の生活を保障
代官・村役人を通じて政策的にそれを実現させようとしている
農民観
年貢負担者として重視=幕藩体制の基礎


(解答例)
小農民を検地帳に登録して土地の保持・耕作権を保障し,年貢負担者として確定した太閤検地以来の政策を継承し,江戸幕府は小農経営による本百姓を幕藩体制の基礎として重視した。そのため,田畑の売買を禁止して階層分化を抑制し,模範的な農業経営のあり方を示して生活の細部にまで規制を加え,小農経営の維持を図った。