年度 2008年

設問番号 第2問


 ある目的を共有して集団を結成することを,中世では「一揆」といった。それにかかわる次の⑴~⑵の文章を読んで,下記の設問A~Cに答えなさい。

(1) 1373年,九州五島の武士たちが「一味同心」を誓った誓約書に,「このメンバーの中で訴訟が起きたときは,当事者との関係が兄弟・叔父甥・縁者・他人などのいずれであるかにかかわりなく,理非の審理を尽すべきである」と書かれている。
(2) 1428年,室町幕府の首長足利義持は,跡継ぎの男子なく死去した。臨終の際,義持が後継者を指名しなかったため,重臣たちは石清水八幡宮の神前でクジを引いて,当たった義教(義持の弟)を新首長に推戴した。ある貴族は義教のことを「神慮により武家一味して用い申す武将」と評した。
(3) 1469年,備中国北部にあった荘園で,成年男子がひとり残らず鎮守の八幡神社に寄り合って,境内の大鐘をつき,「京都の東寺以外には領主をもたない」ことを誓い合った。鐘をつく行為は,その場に神を呼び出す意味があったと思われる。
(4) 1557年,安芸国の武士12人は,「今後,警告を無視して軍勢の乱暴をやめさせなかったり,無断で戦線を離脱したりする者がでたら,その者は死罪とする」と申し合わせた。その誓約書の末尾には,「八幡大菩薩・厳島大明神がご覧になっているから,決して誓いを破らない」と記され,次ページの図のように署名がなされた。

ñ—óòéÅÇ∆à¿å|çëèOÇÃéPòAîªèÛ

設問
A 図のような署名形式は,署名者相互のどのような関係を表現しているか。1行以内で説明しなさい。
B 一揆が結成されることにより,参加者相互の関係は結成以前と比べてどのように変化したか。2行以内で述べなさい。
C 中世の人々は「神」と「人」との関係をどのようなものと考えていたか。2行以内で述べなさい。


解法のヒント