年度 2017年

設問番号 第1問


次の⑴~⑸の文章を読んで,下記の設問A・Bに答えなさい。

⑴ 東アジアの国際関係の変動の中で,日本列島では律令国家による国土の拡張が進められた。東北地方への進出では,7世紀に渟足柵・磐舟柵,ついで太平洋側にも城柵を設置し,8世紀には出羽国を建て,多賀城を置いて支配を広げた。
⑵ 律令国家が東北支配の諸政策を進める中,東国は度重なる軍事動員や農民の東北への移住などで大きな影響を受け続けた。他の諸国にも大量の武具製作や帰順した蝦夷の移住受入れなどが課され,東北政策の社会的影響は全国に及んだ。
⑶ 律令制支配が東北に伸長した結果,8世紀後期から9世紀初期の30数年間,政府と蝦夷勢力との武力衝突が相次いだ。支配がさらに北へ広がる一方,桓武天皇は負担が国力の限界に達したとして,蝦夷の軍事的征討の停止に政策を転じた。
⑷ 金(砂金)や,昆布等の海産物,優秀な馬といった東北地方の物産に対する貴族らの関心は高かった。また,陸奥国と本州の太平洋に面した諸国の人々の間には,海上交通で結ばれた往来・交流も存在した。
⑸ 鎮守府の将軍など,東北を鎮めるための軍事的官職は,平安時代を通じて存続し,社会的な意味を持ち続けた。平貞盛,藤原秀郷,源頼信・義家らは,本人や近親がそうした官職に就くことで,武士団の棟梁としての力を築いた。

設問
A 東北地方の支配は,律令国家にとってどのような意味を持ったか。2行以内で述べなさい。
B 7世紀半ばから9世紀に,東北地方に関する諸政策は国家と社会にどのような影響を与えたか。その後の平安時代の展開にも触れながら,4行以内で述べなさい。


解法のヒント