年度 2020年

設問番号 第4問


次の⑴・⑵の文章は,軍人が実践すべき道徳を論じた明治時代の史料から,一部を抜き出して現代語訳したものである。これを読んで,下記の設問A・Bに答えなさい。

⑴ 維新以後の世の風潮の一つに「民権家風」があるが,軍人はこれに染まることを避けなくてはいけない。軍人は大元帥である天皇を戴き,あくまでも上下の序列を重んじて,命令に服従すべきである。いま政府はかつての幕府に見られた専権圧制の体制を脱し,人民の自治・自由の精神を鼓舞しようとしており,一般人民がそれに呼応するのは当然であるが,軍人は別であるべきだ。

(西周「兵家徳行」第4回,1878年5月。陸軍将校に対する講演の記録)

⑵ 軍人は忠節を尽くすことを本分とすべきである。兵力の消長はそのまま国運の盛衰となることをわきまえ,世論に惑わず,政治に関わらず,ひたすら忠節を守れ。それを守れず汚名を受けることのないようにせよ。
(「軍人勅諭」1882年1月)

設問
A ⑴の主張の背景にある,当時の政府の方針と社会の情勢について,3行以内で述べなさい。
B ⑵のような規律を掲げた政府の意図はどのようなものだったか。当時の国内政治の状況に即しながら,3行以内で述べなさい。


解法のヒント