年度 2021年

設問番号 第3問


次の⑴~⑷の文章を読んで,下記の設問A・Bに答えなさい。

⑴ 1707年に富士山が大噴火して広範囲に砂(火山灰)が降り,砂はさらに川に流れ込んで大きな被害をもたらした。幕府は,砂除川浚〔すなよけかわざらい〕奉行を任命するとともに,「近年出費がかさんでおり,砂が積もった村々の御救も必要」として,全国の村々から「諸国高役金」を徴収した。
⑵ 豊かな足柄平野を潤す酒匂〔さかわ〕川では,上流から砂が流れ込んで堆積し,氾濫の危険性が高まっていた。幕府は他地域の大名にも費用を分担させ,最も危険な箇所を補強する工事を緊急に行ったが,砂の除去が不十分で堤が切れ,下流域で洪水が繰り返された。
⑶ 砂が最も深く積もったのは,酒匂川上流の冷涼な富士山麓の村々であった。砂除には莫大な費用が見込まれたが,幕府からの手当はわずかであり,一部の田畑を潰して砂を捨てていた。後には砂を流す水路の開削費用が支給されるようになったものの,捨てた砂は酒匂川に流れ込み,下流部に堆積してしまった。
⑷ 幕府に上納された約49万両の「諸国高役金」のうち,被災地の救済に使われたことがはっきりしているのは6万両余にすぎなかった。その6万両の大半は酒匂川の工事にあてられた。

設問
A 幕府が⑴⑷のような対応をとる背景となった17世紀後半以降の幕府財政上の問題について,2行以内で述べなさい。
B 被災地の救済にあたって幕府はどのような方針をとり,それにはどのような問題があったか。⑵⑶のように対応が異なる理由に注意して,3行以内で述べなさい。


解法のヒント