年度 2022年

設問番号 第1問


次の⑴~⑷の文章を読んで,下記の設問A・Bに答えよ。

⑴ 律令制のもと,中央政府から諸国への連絡には文書が用いられた。その際,たとえば改元のように,全国一律に同じ内容を伝える場合には,各国宛てに1通ずつ作成されるのではなく,あわせて8通の文書が作成され,中央政府から畿内や七道の諸国に伝達された。受けとった国司はそれを写し取り,国内で施行したものとみられる。
⑵ 734年に出雲国が中央政府や他国との間でやりとりした文書の目録によれば,3月23日に中央政府が出雲国に宛てて発給した文書が,4月8日に伯耆国を通過し,4月10日に出雲国に到着したことが知られる。また出雲国を経由して,隠岐国や石見国に文書が伝達されることもあった。
⑶ 石川県で発掘された木札には,849年の郡司の命令が記されていた。そのなかで郡司は,国司からの命令を引用した上で,管轄下の役人に対し,その内容を道路沿いに掲示し,村人たちに諭し聞かせるようにと指示している。この木札には,一定期間,屋外に掲示された痕跡が残っている。
⑷ 奈良時代の村落における農耕祭祀の様子を伝える史料によれば,祭りの日には酒や食事が用意され,村の成人男女が集合すると「国家の法」が告知され,その後に宴会がおこなわれたという。

設問
A 中央政府から諸国に命令を伝える時に,都から個別に使者を派遣する場合もあったが,そうでない場合はどのような方法がとられていたか。2行以内で述べよ。
B 諸国では,どのようにして命令が民衆にまで周知されたと考えられるか。具体的な伝達方法に注意しつつ,4行以内で述べよ。


解法のヒント