年度 2022年

設問番号 第4問


労働生産性は,働き手1人が一定の時間に生み出す付加価値額(生産額から原材料費や燃料費を差し引いた額)によって計られる。その上昇は,機械など,働き手1人当たり資本設備の増加による部分と,その他の要因による部分とに分けられる。後者の要因には,教育による労働の質の向上,技術の進歩,財産権を保護する法などの制度が含まれる。労働生産性に関わる以下の図と史料を読み,下記の設問A・Bに答えよ。


労働生産性上昇率の推移

史料

専〔もっぱら〕ら勤〔いそし〕むべきは人間普通〔ふつう〕日用〔にちよう〕に近き実学なり。譬〔たと〕えば,いろは四十七文字を習い,手紙の文言〔もんごん〕,帳合〔ちょうあい〕の仕方,算盤〔そろばん〕の稽古〔けいこ〕,天秤〔てんびん〕の取扱い等を心得〔こころえ〕,なおまた進んで学ぶべき箇条は甚だ多し。(中略)一科一学も実事を押え,その事に就〔つ〕その物に従い,近く物事の道理を求めて今日の用を達すべきなり。上記は人間普通の実学にて,人たる者は貴賤上下の区別なく皆悉〔ことごと〕くたしなむべき心得なれば,この心得ありて後に士農工商各々その分を尽〔つく〕し銘々〔めいめい〕の家業を営み,身も独立し家も独立し天下国家も独立すべきなり。

(福沢諭吉『学問のすゝめ』初編,1872年,表現を一部改変)

国民たる者は一人にて二人前の役目を勤〔つと〕むるが如し。即ちその一の役目は,自分の名代〔みょうだい〕として政府を立て一国中の悪人を取押〔とりおさ〕えて善人を保護することなり。その二の役目は,固く政府の約束を守りその法に従って保護を受くることなり。

(福沢諭吉『学問のすゝめ』六編,1874年,表現を一部改変)

設問
A 1880年代半ばから1890年代における労働生産性の上昇をもたらした要因は何か。具体的に3行以内で述べよ。
B 第一次世界大戦期以後において,労働生産性の上昇はさらに加速しているが,その要因は何か。具体的に3行以内で述べよ。


解法のヒント