筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2002年度(平成14年度) 設問番号 第2問
テーマ 土一揆/中世
史料A〜Cを読み,下線部(1)〜(3)の意味するとごろを具体的に説明しながら,この時期の社会状況について論述せよ。400字以内で解答せよ。
史料A
九月 日,一天下の土民蜂起す。徳政と号し,酒屋・土倉・寺院等を破却せしめ,雑物等恣にこれを取り,借銭等悉くこれを破る。官領これを成敗す。(1)凡そ亡国の基,これに過ぐべからず。日本開白以来,土民蜂起是れ初めなり。(大乗院日記目録・原文は和様漢文)
史料B
或人曰く。播磨国の土民,旧冬の京辺の如く蜂起す。国中の侍を悉く攻むるの間,諸庄園代加之守護方の軍兵,彼等の為に或いは命を失ひ,或いは追落さる。一国の騒動希代の法なりと云々。(2)凡そ土民侍をして国中に在らしむべからざる所と云々。乱世の至なり。仍て赤松入道発向し了んぬ者。(薩戒記・原文は和様漢文)
史料C
近日,向辺の土民蜂起す。土一揆と号し,御徳政と称して,借物を破り,少分を以て押して質物を請く。縡江州より起る。……今日,法性寺の辺に此事有りて火災に及ぶ。侍所多勢を以て防戦するも猶承引せず。土民数万の間,防ぎ得ずと云々。賀茂の辺か,今夜時の声を揚ぐ。……(3)今土民等,代始に此の沙汰は先例と称すと云々。言語道断の事なり。(建内記・原文は和様漢文)