筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2004年度(平成16年度) 設問番号 第4問
テーマ 1930年代の政治の変化/近代
次の史料は,1930年代の衆議院における決議とその趣旨説明である。史料中の下線部(1)〜(3)の語句を説明しながら,当時の政治の変化について論述せよ。ただし,(1)〜(3)の使用の順序は自由とする。400字以内で解答せよ。
衆議院の決議
国体ノ本義ヲ明澂ニシ人心ノ帰趨ヲ一ニスルハ刻下最大ノ要務ナリ政府ハ崇高無比ナル我カ国体ト相容レサル言説ニ対シ直ニ断固タル措置ヲ取ルヘシ
右決議ス
(『官報』)
趣旨説明
抑々我ガ(1)国体ノ本義ハ,炳(へい)トシテ日月ノ如クデアリマス,謹テ之ヲ按ズルニ,皇祖肇国ノ始ニ於テ神勅ヲ下シ給ヒ「是レ吾ガ子孫ノ王タルベキノ地ナリ」ト宣ハセ,且ツ「天壤ト与ニ窮リナカルベシ」ト示サセラレテアル,此神勅ハ我ガ建国ノ大精神デアリ,永遠ノ大理想デアリマス,即チ此ニ依テ我国ノ優越ナル特殊性ヲ明示シ,(2)万世一系ノ天皇ガ統治権ノ主体ニシテ,絶対ノ地位ニアラセラルヽコトヲ宣布セラレタノデアリマス,(中略)
然ルニ測ラズモ,今議会ニ於テ,此明々白々タル国体ニ関スル論議ガ行ハレツヽアルコトハ,私ノ最モ懌(よろこ)バザルトコロデアル,併シ既ニ政治上ノ問題トナリタル以上ハ,此ニ其帰趨ヲ正サネバナリマセヌ,而シテ政府ハ,(3)天皇機関説ニ対シ,之ヲ否定シナガラ,躊躇逡巡,之ニ対スル措置ヲ為サヾルハ,国家ノ為メ遺憾ニ堪ヘヌ次第デアリマス,政府ハ最モ厳粛ナル態度ヲ以テ,直チニ適当ノ措置ヲトラレネバナリマセヌ,是レ誠ニ皇猷恢弘(こうゆうかいこう)ニ奏効セシ国民精神ヲ涵養シ,以テ憲政有終ノ美ヲ済サントスル趣旨ニ外ナラヌノデアリマシテ,茲ニ本決議案ヲ提出スル所以デアリマス,(下略)
(『官報』)