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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2009年度(平成21年度)
設問番号 第1問
テーマ 縄文〜古墳時代における社会の変化
縄文時代から古墳時代に及ぶ社会の変化について,次のア〜エの語句を用いて,400字以内で論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。
ア 前方後円墳 イ 屈葬 ウ 群集墳 エ 伸展葬
【解答例】
今から約一万年前,更新世から完新世へ移行するなか,採集や狩猟,漁労を生業とする縄文文化が形成された。人びとは集落を形成して定住生活を本格化させたが,共同墓地に屈葬され,身分のない社会であった。紀元前5世紀頃,朝鮮南部から本格的な水稲耕作や金属器が伝わり,水稲耕作を主要な生業とする農耕社会が形成された。一般の人びとは共同墓地に伸展葬されたが,各地に有力な支配者つまり首長が出現し,副葬品をもつ墓や,共同墓地とは独立した墳丘墓が出現した。3世紀後半頃にはヤマトを中心とする広域の政治連合が成立し,近畿地方から瀬戸内海沿岸にかけて,より大規模な前方後円墳をはじめとする古墳が出現した。そして5世紀末以降,ヤマトの王の権力が著しく伸長して各地の首長がそのもとに服属し奉仕するようになったため,巨大な前方後円墳は近畿中央部に限定され,各地で小円墳が多数密集する群集墳が増加した。